航空・計測

ヘリレーザ2号機による高付加価値三次元計測

斜めレーザ計測事例の紹介


図1 航空レーザ計測の概念
   航空事業部   藤井紀綱    センサー技術部 吉永剛 大鋸朋生     管理室     鈴木寅彦

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はじめに


航空レーザ計測とは、ヘリコプターなどの航空機に搭載したレーザ計測システムから照射されるレーザ光が地表面や建物などで反射し、戻ってくるまでの時間を測定することで距離を算出する原理を応用して、地表面や建物の形状を高密度かつ高精度で計測する技術です(図1)。
またレーザ光は、樹木が繁茂する森林域においても木漏れ日同様に葉の隙間から地面に到達するため、立ち入りが困難な場所でも現場に立ち入ることなく、安全かつ迅速に計測が行えます。
通常の航空レーザ計測では、レーザ計測システムを地面に対して水平に設置しますが、本年4月から稼動しているヘリレーザ2号機は、レーザ計測システムを斜めに傾けて設置することが可能となりました。そのため、いままで多くの労力を要した急勾配地域での高密度な地形データの取得が容易になります(図2)。今回は、海岸線沿いの急崖地での計測事例を紹介します。

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ヘリレーザ2号機の特徴


・ヘリレーザ2号機は、国内最高クラスの性能を誇り、1秒間に最大で40 万回のレーザ光を照射でき、単コースで16点/㎡の高密度な計測が可能となります(表1)。
・ヘリコプター底部のレーザ計測システムを傾斜0°~20°の範囲を可変で搭載することができます(図3)。
・Waveform 解析機能により微弱な中間パルスやラストパルスを受信することが可能なため、植生が繁茂している場所の地盤データなどを取得することができます。

 

 図3 ヘリコプターとレーザ計測システム

 

 図4 レーザ光の分類

 

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斜めレーザ計測

2012年6月27日に茨城県日立市の海岸、鵜の岬を対象にレーザ計測システムを陸側に20°傾けて、図5の計測コースを高度300mで飛行し、斜めレーザ計測を実施し ました。レーザ計測システムが傾けられていることにより、航空レーザ計測と同時に撮影しているデジタルカメラ画像も斜めで撮影されるため、断崖絶壁の岸壁を画像で確認することができます(図6)。

 
図5 赤色立体地図(DSM:数値表層モデル) 図6 デジタルカメラ画像(斜め撮影画像)

 

1秒間に40万回のレーザ光照射による高密度な計測により、岸壁の微妙な凹凸が確認でき、また、樹木が繁茂している場所でも、多くのレーザ光が地盤面まで到達したため、詳細な地形データを取得することができました(図7、8、9)。

   
図7 断面図 図8 鳥瞰図

図9 赤色立体地図(DEM:数値標高モデル)

 

 

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おわりに

ヘリレーザ2号機を使用することで、これまで以上に高密度な標高データの取得が容易になります。また斜めレーザ計測と通常の航空レーザ計測とを併せて実施することで、平坦地に比べて高密度データ取得が困難であった急崖地などでも、より高密度なデータ収集が可能となります。

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