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「八幡平澄川地すべり」災害状況(1997年5月11日)

2020/11/05

澄川地すべり・土石流災害
(1997年5月13日作成) (1998年3月13日修正)

 

翌5月12日に撮影した空中写真や、その後の現地調査の結果を報告します。

概 要

 秋田県鹿角市八幡平の澄川温泉で、大規模な地すべりが発生しました。1997年5月4日頃から前兆現象がはじまり、 11日の朝8時頃、大規模な地すべりが発生、澄川温泉は完全に破壊されました。 地すべりの末端部から発生した岩屑なだれは2km下流まで流下、赤川温泉と国道341号線赤側橋も埋没しました。この一連の災害による死者・負傷者はありません。なお、11日の朝8時に、地すべりの末端部で水蒸気爆発があり、そのメカニズムが注目されます。

コンテンツ


空中写真の版権はアジア航測が所有しています。現地写真の版権は撮影者にあります。

空中写真
斜め空中写真(35mm)
地すべり全景 地すべりは上段と下段の二つのブロックから構成されている
キャップロック型地すべり
下部の温泉変質をうけた基盤を新しい溶岩流が覆う
水蒸気爆発の降灰状況 対岸の樹木には、細粒火山灰が付着し、あたかも霧氷のようである 合流点直下の状況 岩屑なだれの一部は直進し、段丘上に乗り上げている
地すべり正面全景写真 澄川温泉の位置は灰色部分の中央であるが、建物は何も確認できない 上部滑落崖の拡大 中央部の溶岩の崩落堆積物は、雪の上に存在する。柱状節理が認められる
垂直空中写真(23*23cm)
 
地すべり全景垂直写真
1/5,000 No.6785 (1997/07/01修正・文責千葉)
  • 上部地すべりは円弧型で、滑り落ちたブロックの上部は後方回転、末端部は前方回転している。これは、樹木の傾きからも明確である。両者の境は、尾根状の高まりをなし、部分的に原地形面より約20m隆起している。その頂部には、開口亀裂が多数認められ、いくつかのものはその内部に、”ゴジラの背板”状の板状貫入土塊をもつ。これは、地下において○○褶曲的な変形があり、中立面より下の圧縮応力場の部分の土塊が、中立面より上の展張応力場の部分へ移動、地表面上に突き出たものと考えられる。
  • 下部地すべりは、半月状のブロックがあり、平行移動
 

517×267
両目の間が広い人用

310×160
両目の間が狭い人用
ステレオ写真

1/10,000
No.6757-6758
 
斜め空中写真(23*23cm)
  全景写真
No.6813
地すべりと泥流および土石流の関係に注目

452×1444

226×722
土石流流下状況写真(拡大)
No.6815
砂防ダムに大量の土砂が堆積している

水蒸気爆発概況
降下灰状況写真
No.6759
地すべりの末端付近で発生、北東方向にのびる。何本かの筋が見られる
地すべり末端部拡大写真
No.6758 対岸の樹木には「灰」が付着している。写真が白すぎるためか、水蒸気爆発の位置はよくわからない。
八幡平澄川温泉地すべりの概要

○発生日時

地すべり(平成9年5月10日午前確認)

土石流(平成9年5月11日8:05確認)

○発生場所

地すべり 秋田県鹿角市八幡平澄川(国有林内)

土石流は地すべり地から下流2kmの熊沢川合流付近まで流下。

○確認経緯

5/4 澄川温泉旅館の飲料水の濁水化

5/7 旅館私道にクラック確認,露天風呂の基礎にクラック確認

5/10 現地踏査の結果,頭部に落差1-2mの滑落崖確認

5/11 県警のヘリによる土石流発生の確認

○被害状況

澄川温泉,赤川温泉の全滅

○避難状況

5/10,16:29澄川温泉11名避難

5/10,17:02赤川温泉27名避難

5/10,18:00銭川温泉3名避難

5/11,8:43熊沢川下流約10km米代川まで警戒体制(9集落)

○観測状況

5/10:午前中亀裂発生箇所に伸縮計設置

日中,市役所員,鹿角土木事務所職員,消防団が監視

日没後,赤川橋で監視

○対応

1)建設省;5/10,21:00に土木研究所職員2名を派遣

秋田県土木部の要請を受け,東北地建災害対策車を派遣,5/11,4:00現地到着

5/11,建設省砂防部担当官(松井土石流対策官,木下課長補佐)派遣

2)県等

5/10,16:45:秋田県砂防課長他3名派遣

5/10,16:45:災害対策本部設置(鹿角市)

5/11,10:30:秋田県災害対策本部を消防防災課に設置

時系列整理一覧表
日時
地すべり関係

土石流関係

水蒸気爆発関係
出典

5月4日

澄川温泉旅館の飲料水が濁る (建設省)。

   

[1997-05-11-22:08]読売新聞ニュース速報

5月7日

澄川温泉の私道、露天風呂の基礎にひびが入る。

   

[1997-05-11-22:08]読売新聞ニュース速報

5月7日夕方

この日の夕方から、24時間で114ミリの大雨が降る。

   

河北新報社 97/05/13

5月10日2時

澄川温泉旅館の従業員が旅館南側の斜面に亀裂発見。

   

河北新報社 97/05/12

5月10日2時30分

澄川温泉の南側斜面の土砂がゆっくりと滑り落ち、露天風呂の一部が埋まったほか、建物などに被害が発生。

   

[1997-05-11-15:59]時事通信ニュース速報

5月10日7時ごろ

地すべりは、幅約700メートル、高さ約150メートル、奥行き約500メートルに及ぶ大規模なもので、土砂は、澄川温泉の露天風呂を埋め、宿泊施設に迫る。

   

河北新報社 97/05/12

5月10時30分ごろ

県鹿角土木事務所は、地すべりが澄川温泉南側で、南北約700㍍、東西約500㍍、約35㌶の規模と確認。

   

秋田さきがけ 97/05/12

5月10日12時ごろ

澄川旅館の露天風呂が土砂で埋まり、小屋が傾く。

   

河北新報社 97/05/12

日時

地すべり関係

土石流関係
水蒸気爆発関係
出典

5月10日20時ごろ

   

東北大・焼山観測所の地震計に、火山性の微動が記録されはじめる(土石流の発生直前まで続く)。

[1997-05-14-11:17]朝日新聞ニュース速報

5月11日7時53分

   

7時57分までの4分間、火山性の微動が停止する(東北大・焼山観測所)。

[1997-05-15]河北新報ホームページ

5月11日8時過ぎ

 

現場付近の斜面が高さ150m、幅500mにわたって崩れ、土石流となって近くの川に流れ込み、二軒の旅館の建物合わせて16棟が全壊する。土砂によって赤川温泉は押し流され、土石流は国道341号の赤川橋を越え、トロコの砂防ダムで止る。

 

[1997-05-12-10:48]NHKニュース速報 , 秋田さきがけ 97/05/12

5月11日8時10分前後(土石流発生直後)

   

澄川温泉の東北東で間欠泉のような約5~60mの高さの白い煙が突然、立ちのぼって消えた。5、6秒後、再び高さ100~120mの白い煙が同じ場所から上がり、煙の東側を飛ぶと灰混じりの白い雨が降った。5分後、煙は収まる(秋田航空の機長談)。同じ現象を、鹿角市職員らも目撃。

[1997-05-12-23:19]読売新聞ニュース速報 , [1997-05-12-13:06]朝日新聞ニュース速報

時系列に沿った発表情報

(工事中)

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4日

 建設省によると、澄川温泉旅館の飲料水が濁る

[1997-05-11-22:08]読売新聞ニュース速報

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7日

 建設省によると、澄川温泉の私道、露天ぶろの基礎にひびが入る

[1997-05-11-22:08]読売新聞ニュース速報

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7日夜~8日

 110mmの降雨を記録

[1997-05-11-19:01]毎日新聞ニュース速報

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10日

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午前2:30頃 <地すべり発生>

 10日午前、澄川温泉の南側斜面の土砂がゆっくりと滑り落ち、露天ぶろの一部が埋まったほか、建物などに被害が発生。

[1997-05-11-15:59]時事通信ニュース速報

 鹿角市の現地災害対策本部などによると、最初に地滑りがあったのは10日午前2時半ごろ。約35haの広い範囲にわたって起きたが、この時には建物などに被害はなかった。[1997-05-11-19:01]毎日新聞ニュース速報

 地滑り規模は幅700m、長さ500mと推定される。

[1997-05-11-22:08]読売新聞ニュース速報

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地すべり発生後 <澄川温泉・赤川温泉の宿泊客・従業員避難>

 10日、鹿角市の勧告に従い、澄川温泉、赤川温泉などの3つの旅館の宿泊客、従業員、計74人が避難した。

[1997-05-11-15:59]時事通信ニュース速報

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11日

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午前8時頃(土石流発生前後) <水蒸気爆発?>

 11日午前8時ごろに土石流が発生する直前、澄川温泉の南斜面で、白い煙が噴き上がっているのを現場を視察した鹿角市職員らが確認していたのが、12日分かった。水蒸気の付近の樹木は約60mにわたって、白っぽい火山灰が積もっているのも見つかっており、12日上空から視察した秋田大学の林信太郎助教授(地質学)は「何らかの火山活動が原因で水蒸気爆発が10日朝の地滑りに伴って起きた可能性がある。温泉の変質で岩盤がもろくなっていたのに加えて、大量の降雨が土石流を誘発したのではないか」と話している。

[1997-05-12-13:06]朝日新聞ニュース速報

 土石流発生直後の11日午前8時10分ごろ、現場上空をヘリで飛んでいた秋田航空の

伊藤孝機長(67)が水蒸気爆発の瞬間を目撃、同乗していた平松真整備士(29)が当時の様子を撮影した。

 伊藤機長によると、ヘリが現場上空を旋回中、澄川温泉の東北東で間欠泉のような約5~60mの高さの白い煙が突然、立ちのぼって消えた。5、6秒後、再び高さ100~120mの白い煙が同じ場所から上がり、煙の東側を飛ぶと灰混じりの白い雨が降った。5分後、再び同じ場所を飛行すると煙は収まっていたという。

 八幡平の地質に詳しい秋田大学鉱山学部の丸山孝彦教授(地質学)は、爆発の瞬間の写真を見て「煙が白いことや高さからみて、土石流が地表の土砂を削ったことで、地下にたまった水蒸気が一気に噴き出した水蒸気爆発に間違いない」と話している。土砂崩落との関連については「崩落を引き起こしたのなら、もっと広範囲にわたって水蒸気爆発が起きていたはずだが、写真から見る限りでは範囲が狭く、関連性は低いと思う」としている。

[1997-05-12-23:19]読売新聞ニュース速報

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午前8時過ぎ <土石流発生>

 11日午前8時すぎ、秋田県鹿角市八幡平の旅館「澄川温泉」(阿部かう社長)の南側斜面の土砂が崩れ、同旅館の9棟が全壊した。土砂はさらに近くの熊沢川の支流に流れ込んで土石流となり、下流の旅館「赤川温泉」(阿部正平社長)の7棟も全壊した。付近には前日、避難勧告が出されていたため、宿泊客、従業員は全員避難しており、けが人はなかった。

[1997-05-11-17:02]時事通信ニュース速報

 11日午前8時ごろ、秋田県鹿角市八幡平で土砂崩れが10日に続いて発生し、付近を流れる赤川沿いの温泉旅館2軒、計16棟が、土砂の流れにのみ込まれて全壊した。宿泊客や従業員ら約50人は、昨日起きた土砂崩れですでに避難しており、全員無事だった。

 11日の土砂崩れは、赤川に沿って幅約200m、長さ1km以上にわたって広がっており、同日正午ごろには、ほぼ治まった。

[1997-05-11-15:53]朝日新聞ニュース速報

 11日午前8時ごろ、秋田県鹿角市八幡平熊沢の澄川温泉旅館(阿部かう社長)の裏山(高さ約120m)で地滑りが発生、浴場棟など建物4棟が全壊した。土砂は土石流となって澄川(幅約5m)沿いに約2km下り、最初の地滑り現場から約700m下流の赤川温泉旅館(阿部正平社長)の建物3棟を壊したり、押し流したりした。両旅館の宿泊客と従業員など計84人は県と市の避難勧告に従って事前に避難しており、けが人などはなかった。

[1997-05-11-19:01]毎日新聞ニュース速報

 秋田県鹿角市八幡平熊沢の澄川温泉で、10日朝に始まった土砂の崩落は、11日午前8時過ぎになって大規模な土砂崩れとなり、澄川温泉旅館=阿部かうさん(79)経営=の建物九棟を押しつぶした。さらに土砂は近くの澄川に流入、土石流となって約1km下流の赤川温泉旅館=阿部正平さん(84)経営=の建物7棟を押し流した。62人の宿泊客や従業員合わせて88人は、避難しており無事だった。

[1997-05-11-22:08]読売新聞ニュース速報

 11日午前8時すぎ、秋田県鹿角市の八幡平で温泉旅館の裏山の斜面が高さ150m、幅500mにわたって崩れ、土石流となって近くの川に流れ込み、二軒の旅館の建物合わせて16棟が全壊しました。

[1997-05-12-10:48]NHKニュース速報

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8:15過ぎ <志張温泉や住民へ避難勧告>

 鹿角市は11日午前8時15分過ぎ、さらに下流の志張温泉や住民へ避難勧告を出すとともに、県警や消防で下流域の住民に注意を呼びかけている。

[1997-05-11-14:05]読売新聞ニュース速報

 土石流は川沿いの広い範囲に広がっており、11日、さらに下流の旅館「志張温泉元湯」の宿泊者ら計16人が避難した。同市の対策本部は、11日の土砂崩れ現場から7~8km離れた集落に対しても、避難の準備を呼び掛けている。

[1997-05-11-17:02]時事通信ニュース速報

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11日午前 <秋田県警 ヘリで確認>

 秋田県警が11日午前、へリで上空から確認したところ、土砂は同日午前10時までに澄川とその下流の赤川沿いに下流に進んでいる。

 澄川、赤川両温泉には、湯治客などを中心にした旅館がそれぞれ一軒ずつあるが、土砂によって完全に埋もれていたという。

[1997-05-11-14:05]読売新聞ニュース速報

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午後1時 <水沢・老沢集落に避難勧告>

 鹿角市は11日午後1時、さらに約2.8km下流の水沢、老沢集落(計6世帯、26人)に新たに避難勧告を出すなど、引き続き警戒している。

[1997-05-11-19:01]毎日新聞ニュース速報

 土石流の先端は、国道341号線を乗り越え、赤川温泉より400m下流まで到達したため、下流の老沢、水沢両地区の川沿いの9世帯30人が近くの公民館に避難した。

[1997-05-11-22:08]読売新聞ニュース速報

 建設省は11日、災害対策本部を設置し、同省土木研究所の職員ら専門家4人を現地に派遣した。県も同日、災害警戒部を設け、引き続き警戒態勢をとっている。

[1997-05-11-20:11]毎日新聞ニュース速報

 秋田県の現地対策本部によると、11日夕現在、土石流は砂防ダム群にせきとめられている状態。土砂が新たな鉄砲水となって下流域を襲う恐れは少ないが、「監視体制が整うまで少なくとも一両日は避難が必要」とみている。

[1997-05-11-22:08]読売新聞ニュース速報

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12日

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5:00~ 7:00

 避難した住民らは12日午前5時から約2時間、消防署員らに付き添われていったん自宅に戻り、寝具や貴重品などを持ち出した。

[1997-05-12-10:51]毎日新聞ニュース速報

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12日午前 <建設省・秋田県・鹿角市 本格的な調査へ>

 12日、建設省の専門家ら約10人が現地入りしヘリ2機で上空から現場を視察した。現地調査の結果と併せて、今後の対応を検討する。

 土石流の先端は国道341号の赤川橋を越え約500m下流の砂防ダムで止まっている。しかし、この砂防ダムも土砂であふれて危険な状態。現地対策本部では土石流を監視するカメラやセンサーを設置し、24時間態勢で水位観測を行うなど地滑り対策の警戒に当たっている。国道341号は約300mにわたって土石流に覆われ、復旧のめどは立っていない。

[1997-05-12-10:51]毎日新聞ニュース速報

 鹿角市の災害対策本部などによると、土石流は発生場所となった「八幡平温泉郷」の澄川温泉の南側斜面から約2km先の砂防ダムにせき止められるような形となっており、新たな土石流が発生する気配はなく、小康状態が続いている。

 土石流が動き出した場合に備え、ワイヤのセンサーを設置することも検討している。

[1997-05-12-11:03]朝日新聞ニュース速報

 12日朝、建設省火山土石流対策官らが、秋田県警のヘリコプターで上空から視察するなど本格的な調査に乗り出した。

 建設省から鹿角市に入った連絡によると、11日朝には約50万m3の土砂が流出した。今後、最悪の場合には、さらに250万m3の土砂が流出する恐れがあるという。12日朝の鹿角市対策本部会議で、杉江宗祐市長は、事態の長期化を前提に対策を検討する方針を示した。

[1997-05-12-11:11]読売新聞ニュース速報

 地滑り現場の温泉で温泉の水蒸気の噴き出し口が地滑りの土砂でふさがれたため、水蒸気の圧力が高まって土砂の上に小石や灰のようなものが噴き出したあとが確認されていて、こうした現象についても警戒していくことになりました。

[1997-05-12-10:48]NHKニュース速報

 土石流現場では12日も、秋田県や鹿角市などの関係者が、大量の土砂が流れ込んだ川の水位や現場斜面の状態の変化などを観測、新たな土石流災害への警戒を続けた。

 秋田県などによると、土石流の原因となった土砂崩れは澄川温泉の裏山のほぼ三分の一が崩壊していることが確認されたが、午前10時半現在で、山の斜面や川の水位には特別の変化は見られない。しかし、この日は天候がよく、午前10時の気温が平年より5度も高い15度で、雪解け水などによる影響が心配されている。

[1997-05-12-11:28]共同通信ニュース速報

 12日午前、建設省砂防課の職員ら専門家がヘリコプターで上空から現地調査を行ったほか、秋田県が泥流監視センサーの設置準備を進めている。土石流は小康状態だが、二次災害の危険もあるため、鹿角市老沢集落の住民ら28人は付近の公民館に避難したままになっている。同地域は14、15日ごろから天気が崩れることが予想されており、同県は24時間態勢で警戒している。

[1997-05-12-12:53]時事通信ニュース速報

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12日午前 <中央省庁の災害対策担当者による連絡会議>

 国土庁は12日午前、同庁会議室に建設省、林野庁などの災害担当者を集め「災害対策関係省庁連絡会議」を開き、二次災害の防止など今後の対応について協議した。

 会議の冒頭、内貴滋・国土庁防災業務課長が「現地では的確に避難勧告が出され、幸い人的被害はなかったが、引き続き警戒が必要」と協力を訴えた。

 この後、気象庁が当時の気象状況を説明したのに続き、警察庁、消防庁が被害状況について報告。また、秋田県の防災担当者は電話を通じて、現地の被害状況に関して詳細に報告した後、国の支援を要請した。                         

 会議では、現地に設置した監視カメラから送られる映像を各省庁に配信するなど、今後も関係省庁間での緊密な連絡を取ることを確認した。

 国土庁は地滑りが発生した10日から、建設省、林野庁などと協議を始め、建設省土木研究所職員や専門家らが既に現地で調査に当たっている。

[1997-05-12-13:25]共同通信ニュース速報

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12日午後1時~ <土砂除去作業>

 秋田県などは12日、土砂たい積を防ぎ二次災害を防止するため、熊沢川支流の下流域にたい積している土砂の除去作業を始めた。また、土石流が流れた最下流域にワイヤー式の泥流監視センサー1台を設置して、二次災害の警戒に当たっている。

 土砂の除去作業を行ったのは、約35haの土砂崩れが発生した澄川温泉の後背地から約1.5km下流の赤川橋付近。重機二台で作業を行ったが、土砂が泥状となっているため作業は難航した。13日朝から再び作業を行うという。

[1997-05-12-21:43]時事通信ニュース速報

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12日午後 <建設省記者会見>

 建設省土木研究所の吉松弘行砂防部長ら専門家4人は12日午後、現地で記者会見し、ヘリコプターと地上からの調査結果を基に、今回の土石流で50万m3の土砂が流出し、依然として200万m3の土砂が澄川温泉の裏山に残っているとの見方を示した。これまでは流出した土砂は裏山のほぼ3分の1とみられていたが、まだ大部分が残っているため、秋田県などは引き続き24時間態勢で警戒している。

 また午後からは、県などが重機を使って国道341号に架かる赤川橋付近の「赤川第一砂防ダム」にたまった土砂の除去作業を開始したほか、澄川温泉地区と土石流の先端に近い「赤川第三砂防ダム」の計2カ所に土石流を感知するセンサーを設置した。土砂の除去については今後、作業の範囲を広げていく予定で、作業員の安全を図るため赤川橋の上流800mの地点に監視員も配置した。 

 現場では山の斜面や川の水位には特別の変化は見られないが、現地を視察した秋田大の林信太郎助教授によると、澄川温泉近くでは水蒸気爆発があったような跡も見られたという。

 吉松部長は「非常に大規模な地滑りだが、土塊の大半が残存している。段差、くぼ地、亀裂などが点在し、厳しい状況にある」と述べ、当面、警戒が必要なことを強調した。

[1997-05-12-18:16]共同通信ニュース速報

 秋田県鹿角市八幡平の2旅館16棟を全壊した土石流で、建設省職員ら専門家による調査団の現地調査の結果、地滑りは温泉の水温上昇と化学的変化により、地質が柔らかくなる温泉変質が原因で、豪雨などで再び土石流が起きる危険性があることが12日、分かった。同県では13日に泥流監視センサーをさらにもう1台設置する予定で、警戒を強めている。

 調査団の団長である渡正亮全国地滑学会顧問によると、地滑りの規模は約35haで、土砂の総量は約250万m3。そのうち、土石流として流れたのは四分の一の約50万m3で、依然として斜面に約200万m3の土砂が残っている不安定な状況にあるという。しかし、当面は小規模な崩壊が断続的に発生するだけとみている。

 同県は専門家らによる調査結果に基づき、砂防ダムの除石など、二次災害防止のための応急対策を検討している。

[1997-05-12-22:49]時事通信ニュース速報

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13日

 13日には、土塊の現状分析や緊急の応急対策などを検討するため、現場付近を調査する。今回の土石流で、公民館や親せき宅などに避難している住民の総数は約60人に上っている。

[1997-05-12-21:43]時事通信ニュース速報

 秋田県や鹿角市などの防災関係者は発生から3日目の13日午前も、付近の赤川橋をふさいでいる土砂を除去するなどして、二次災害の防止に努めた。           

 秋田県などによると、13日の現場は快晴で、川の水位や山の斜面に特に変化は見られないという。              

 午前9時ごろから、県などが重機を使って、12日に続き赤川橋をふさいでいる土砂や流木を除去する作業を急ピッチで進めた。 

[1997-05-13-10:29]共同通信ニュース速報

 秋田県は二次災害を警戒して監視体制を強化するとともに、山の斜面に排水溝をつくるなど、雨に備えた対策を早急に検討していくことになりました。

 さらに、専門家らが今後、雨に備えて山の斜面に水はけをよくするために排水溝を設けたり、亀裂にたまった水を抜き取るポンプを設置したりすべきだと提言しているのを受けて、秋田県は、具体的な対策を早急に検討していくことになりました。

[97-05-13-10:47]NHKニュース速報

 おととい、大規模な地すべりと土石流災害が起きた秋田県鹿角市では、万一、再び土石流が発生して現場に設置された観測用のセンサーが感知した場合に、この情報を住民に直接伝達する方法が確立していないことが指摘され、対策本部で早急に対応を検討することになりました。

 秋田県鹿角市八幡平の災害現場では、林野庁や秋田県がきのう取り付けた土砂の動きを感知するセンサーにも変化は見られず、流れ出した土砂などはひとまず落ちついています。

 高さ150m、幅500mにわたって土砂が崩れた地点からおよそ1km下流の赤川橋付近では、上流から流れ着いた流木や土砂を取り除く作業が、きょうも引き続き行われています。

 地元鹿角市の市役所では災害対策本部会議が開かれ、14の公共機関の担当者20人余りが出席しました。

 このなかで現場に土石流の発生を感知するワイヤーセンサーが取り付けられているものの、万一再び土石流が発生し、センサーが感知した場合に

この情報を住民に周知する手だてが確立されていないという問題点が指摘されました。

 現在は、センサーが土石流の発生を感知すると、現地本部に無線で連絡が入り、そのあと各集落に配置された消防署員を通じて住民に連絡されることになっていますが、土石流が発生すると同時に住民に連絡することは困難です。

 このため災害対策本部会議では、センサーと地域のサイレンを連動させ住民にはいち早く周知する方法などを今後早急に検討することになりました。

[97-05-13-15:22]NHKニュース速報

 秋田県鹿角市の澄川、赤川両温泉の宿泊施設など計16棟が全壊した土石流災害で、現場から約10km下流の永田地区の水田に土石流で濁った水が流れ込む被害が出ていることが13日分かった。 

 地区の農民らは「温泉の成分を含んだ水が田んぼにどんな影響を与えるのか全く予想がつかない」と不安感を強めている。    

 永田地区の農家約30戸の水田の多くは土石流が発生した赤川から農業用水を取り込んでいるが、災害が発生した11日昼ごろには用水路が土砂などでいっぱいになったという。同地区の農業栗山康秀さん(48)は「こんな被害はこれまで経験ないが、地区のほとんどが田植え前だったのがせめての救い」と力なく話した。   

 また、秋田県や鹿角市などは13日も赤川橋をふさぐ土砂、流木の除去や、雨量計を設置するなどして二次災害の防止対策を進めた。

 一方、鹿角市議会は同日午後、協議会を開いて災害の状況や今後の対策について話し合い、夜には現場近くの公民館に周辺の三地区の住民を集め、説明会を開く。

[1997-05-13-16:38]共同通信ニュース速報

 おととい土石流が発生し温泉旅館の建物などに被害が出た秋田県鹿角市の現地では、土石流の二次災害への警戒のためきのう一日、自宅などに待機していた地元の小学生や中学生が、きょう登校を再開しました。

 鹿角市から避難注意が出された地域にある八幡平小学校と八幡平中学校では、児童・生徒の合わせて40人が、きのう一日、市の教育委員会の指示で登校せず、避難所や自宅で待機していました。

 しかし、鹿角市の対策本部では、急に天候が悪化するなど特別な事情がないかぎり、今の時点で再び土石流が起きる可能性は低いとして、きょうから登校を再開しました。

 児童や生徒はふだんスクールバスや路線バスで登校していますが、地滑りが起きた場所の上流の四か所のバス停での乗り降りを取りやめるとともに、消防署員が土石流の流れ込んだ川の現在の状況を無線で知らせ、バスを発車させるといった措置が取られました。

[97-05-13-17:15]NHKニュース速報

 おととい(11日)大規模な地滑りと土石流災害が起きた秋田県鹿角市の現場では、二次災害を防ぐため、足場が不安定な状況の中で、大量の土砂を取り除く作業が続いています。

 秋田県鹿角市八幡平の災害現場では、土砂の動きを感知するセンサーに変化はなく、流れ出した土砂は一応落ち着いていますが、地滑りが起きた現場には、まだ東京ドームの1.6杯分にあたる大量の土や砂が不安定な状態で残っています。

 災害対策本部では、現場から1km下流までの橋や砂防ダムにたまった土砂などを取り除く作業を急ピッチで続けていますが、足場が不安定なことから、これまでに取り除くことができたのは大型ダンプカー20台分程度の土砂にとどまっています。

[97-05-13-19:15]NHKニュース速報

 秋田県鹿角市八幡平で11日に起きた大規模な地滑りと土石流の前後に、現場付近の斜面から大量の白煙が立ち上ったのを、現場上空をヘリコプターで飛んでいた秋田航空の平松真整備士(29)が確認、写真撮影していた。林信太郎・秋田大助教授(火山地質学)らは「地滑りに伴う水蒸気爆発は報告例がない」とこれを重視。研究チームを編成して14日に現地調査を行う。

 平松さんによると、白煙を確認したのは11日午前8時10分前後。初め地滑りの先端付近から3本の白煙が上がり、5~6秒後に白煙が高さ約100mに立ち上った。さらに5~6秒後に同じ地点から高さ50~60mの白煙が再度上がった。白煙は周りが白く、中心部分は灰色と黒。

 地滑りの原因は、温泉の熱や硫黄など化学成分によって岩盤がもろくなる「温泉変質」との見方もある。この白煙も温泉活動との関係で地下にたまっていた水蒸気が地滑りに伴い一気に噴き出したとも考えられ、現地調査では爆発の地点や規模、深さ、噴出物などを調べ、水蒸気爆発だったかどうかを確認したいとしている。

 現地調査には林助教授のほか、大口健志・同大教授(火山層序学)、谷口宏充・大阪府科学教育センター研究員(火山学)が参加する。【佐藤 伸】

[1997-05-13-19:38]毎日新聞ニュース速報

澄川温泉について

地すべり発生以前の澄川温泉の状況を紹介します

写真はすべて日大地球システム科学科坪井氏が1996年7月29日に撮影

澄川温泉付近の地質図(抜粋)

出典:10万分の1仙岩地熱地域地質図

秋田焼山火山の北東山麓部に位置する

澄川温泉正面の風景
1996年撮影
このあと、増築が行われている
澄川温泉下の赤川の状況
温泉正面入り口前にかかる橋から

赤川上流方向を見下ろしたもの、奥に砂防ダムが見える。水はあくまでも澄んでいる。澄川と呼ばれるゆえんだ。

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