環 境

航空レーザ計測を活用した道路交通騒音予測 

航空レーザ計測による地形データを反映させた道路交通騒音の面的予測

これまでの道路交通騒音予測は、沿道における代表的な保全対象施設(民家や病院など)を特定し、その施設が含まれる断面(横断面方向)について日本音響学会式(ASJ RTN-Model 2008)を用いて予測を行い、この予測結果により遮音壁の設置や排水性舗装などの騒音低減対策を検討し、関係住民などへの説明を行ってきました。 ところが、沿道住民などから、沿道全般にわたる綿密な(高精度、広範囲かつ三次元的な)予測が求められるようになってきています。 ここでは、航空レーザ計測を活用することにより、高精度かつ広範囲の地形データを反映させた、三次元的な道路交通騒音予測をご紹介します。

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背 景

これまでの道路交通騒音予測に対し、沿道住民などから、
○代表的は保全対象施設だけでなく、自分の家での影響はどうなのか? 遮音壁などの騒音低減対策は講じてくれないのか?
○マンションなどの高層階における影響はどうなのか?
○地形条件などに即した予測を行っているのか?
といったような沿道全般にわたる綿密な(高精度、広範囲かつ三次元的な)予測が求められるようになってきています。
高精度、広範囲な道路交通騒音予測を行うにあたって障害となるのは、予測に必要な地形データの取得であり、これまでの地形図からの標高データの読み取りでは、精度に課題があるほか、広範囲に把握することは非常に膨大な作業を伴っていました。
そこで、当社は航空レーザ計測を活用することにより、高精度かつ広範囲の地形データを反映させた、三次元的な道路交通騒音予測を可能にしました。

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概 要


この技術では、以下の流れにより予測を行います。
①航空レーザ計測データを用いて予想対象範囲となる地形データを抽出
②予測前提条件(道路構造、官民境界位置、交通量など)を設定
※本技術において適用可能な道路構造は図1に示す道路一般部(平面構造、高架構造、盛土構造、切土構造)になります。
③日本音響学会式(ASJ RTN-Model 2008)を用いて連続的かつ三次元的に予測
④道路沿道の任意の断面における断面等騒音分布図の作成(図2参照)
 地表面からの高さごとの平面等騒音分布図の作成(図3参照)

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面的な道路交通騒音予測の利点

予測結果を、「任意の断面における等騒音分布図」(図2参照)および「地表面からの高さごとの等騒音分布図」(図3参照)に表現することにより、次のことが可能となります。
①具体的な騒音低減対策必要箇所および区間の抽出、ならびにその優先順位の検討
②マンションなどの高さのある構造物に対する道路交通騒音の影響の把握

また、遮音壁の高さや道路の舗装条件などの具体的な騒音低減対策を前提とした予測を行う(図4参照)ことにより、次のことも可能となります。
③どの程度の対策を講じることで、どの程度の騒音低減効果を得ることができるかの把握

これらのことから、道路事業者にとって、既存道路の維持管理時および新設道路の建設時を問わず、次のような効果を得ることができます。
○現状で騒音低減対策が必要な箇所や対策優先順位などの把握
○今後の沿道土地利用状況などの変化(道路沿道での高層マンションや宅地の造成など)による騒音低減対策が必要となってくる箇所の把握
○対策に必要となるコストの概略の把握
○道路沿道の住民などに対して、騒音の影響程度や騒音低減対策による低減効果の程度を説明するための視覚的にわかりやすい資料作成

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予測結果例

航空レーザ計測による地形データを活用し、道路交通騒音の予測を行うことにより、道路沿道の任意の断面について、図2に示す断面等騒音分布図を得ることができます。

 

図2 予測結果例(断面等騒音分布図)

 

従来の道路交通騒音予測では、道路沿道における代表的な保全対象施設を含む断面のみの等騒音分布図を示していました。

本技術では、航空レーザ計測の活用により、高精度の地形データを反映した予測が可能となり、さらに、広範囲に面的に地形データの取得が可能であることから、連続的な予測が可能となり、道路沿道の任意の断面における断面等騒音分布図を得ることができます。

 

図3 予測結果例(平面等騒音分布図)

 

道路交通騒音低減対策(遮音壁、舗装条件)を行っていない条件のもとでの予測結果を地表面からの高さ1.2m、10.0mで平面的に表現しています。(地表面からの高さ1.2mでの予測結果は通常の民家の1階部、10.0mでの予測結果はマンションの3~4階部における道路交通騒音の状況が可能となります。本技術では、地上面から50mの高さまで予測可能です。)

この予測結果を用いることにより、道路沿道の住居などの状況に応じて、どの区間において現状低減対策を行う必要があるのか、また、将来的に道路沿道に住居などができたときにどの区間に低減対策を行う必要が生じるのかを把握することが可能になります。

さらに、住民説明の機会において、道路沿道の住民それぞれの住居での道路交通騒音の状況がどの程度であるのか、視覚的にわかりやすい資料を作成することが可能となります。

 

図4 予測結果例(平面等騒音分布図)

 

図4は、道路端に高さ3.0mの遮音壁を設定し、舗装条件として上図は通常の密粒舗装、下図は騒音低減対策である排水性舗装を設定し予測した結果を、地表面から1.2mでの平面等騒音分布図として表現したものです。

この予測結果を用いることにより、どの程度の低減対策で、どの程度の低減効果を得ることができるのかを予測することが可能となり、遮音壁や排水性舗装の敷設必要区間やそのコストの概略の把握などに役立てることができます。

 


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