森林・環境
自然環境と景観に配慮した建築設計(大雪山国立公園)
<事例紹介>環境省地方環境事務所で初採用! CLT工法での避難小屋!!
本業務では大雪山国立公園内に設置された白雲岳避難小屋(北海道上川郡上川町)について、老朽化に伴う建替え実施設計を行いました。
本設計では対象地が2千メートルを超える国立公園内の高山地帯という立地特性を踏まえて、施工検討を含んだ再整備実施設計を行い、環境省管理の建築物としては初採用となるCLT工法を採用しました。現地での施工可能期間が6月末~9月末に限られていたため、CLT工法を採用することで、在来工法に比べて施工日数の短縮を図り、環境にも配慮した新避難小屋を計画しました。
また、現場条件から鉄筋コンクリート基礎とした場合、製作から打設・養生など施工日数がかかってしまい、平地での施工に比べて品質を確保することが難しいと考えられたため、鋼製材料のみを使用することで短期間の施工が可能な球状鋼管打込基礎を採用しました。
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基本情報
発注者 | 環境省北海道地方環境事務所 |
場 所 | 北海道上川郡上川町(大雪山国立公園内) |
設 計 | アジア航測株式会社(2019年度実施設計業務) |
竣工年月 | 2020年9月 |
構造・規模 |
木造2階建て(CLT工法※1) 基礎:球状鋼管打込基礎 (CLTパネル:カラマツt=90mm、3層3プライ) |
面 積 | 建築面積:約52㎡、延床面積:約98㎡ |
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※1 CLT工法とは
CLTとは、Cross Laminated Timber(クロス・ラミネイティド・ティンバー)の略で、欧州で開発された工法となります。CLTは板の層を各層で互いに直交するように積層接着した厚型パネルのことを呼びます。
CLTの特性は、直交積層のため高い寸法安定性が得られます。90~210mm程度の厚みが一般的で、断熱性に優れ、大判のパネルとして利用することで、高い耐震性を確保することが出来ます(欧州では、幅:3m×長さ:16m程度のサイズで製造されています)。また、板の幅や厚み、強度が集成材に対し幅広く活用できるというメリットもあります。(出典:CLT建築推進協議会 http://www.clt-kenchiku.org/wdoc/?q=grp02)
我が国においては、スギやカラマツといった国産の木材でも、十分な強度を有するCLTパネルを製作することが可能であり、国産木材の需要拡大の一つとして期待できます。