森林・環境
自然環境と景観に配慮した建築設計(瀬戸内海国立公園・地家室園地)
<事例紹介>CLT工法の休憩所!! ZEBの導入に基づき、ソーラーパネルを設置しました!!
周防大島町の地家室園地の海域は、優れた海中景観を有しており、海域公園地区に指定されています。当該海域では、地元が主体となってダイビングやシーカヤック等の自然体験型の利用を推進しています。本業務ではこのような利用者のための休憩所の新築実施設計を行いました。施設内には、多目的室、コインシャワー付き更衣室、屋外シャワー場・足洗い場、トイレを設置しました。多目的室には大開口の窓を設け、瀬戸内海を眺望できます。本施設では脱炭素の観点から木造とし、在来工法と比べて施工性、耐震性に優れるCLT工法※1を採用しました。
また、ZEB※2の導入に基づき設置容量を計算したソーラーパネルの設置や、屋根に降った雨水を利用するための貯水タンクを設置するなど、環境に配慮した施設としました。
基本情報
発注者 | 環境省中国四国地方環境事務所 |
場 所 | 山口県大島郡周防大島町地家室地内(瀬戸内海国立公園内) |
設 計 | アジア航測株式会社(2021年度実施設計業務、2022年度工事監理業務) |
竣工年月 | 2024年3月 |
構造・規模 |
木造平屋建て(CLT工法※1)(CLTパネル:スギt=90mm) 基礎:布基礎 |
面 積 | 建築面積:約228㎡、延床面積:約198㎡ |
※1 CLT工法とは
CLTとは、Cross Laminated Timber(クロス・ラミネイティド・ティンバー)の略で、欧州で開発された工法となります。CLTは板の層を各層で互いに直交するように積層接着した厚型パネルのことを呼びます。
CLTの特性は、直交積層のため高い寸法安定性が得られます。90~210mm程度の厚みが一般的で、断熱性に優れ、大判のパネルとして利用することで、高い耐震性を確保することが出来ます(欧州では、幅:3m×長さ:16m程度のサイズで製造されています)。また、板の幅や厚み、強度が集成材に対し幅広く活用できるというメリットもあります。(出典:CLT建築推進協議会 http://www.clt-kenchiku.org/wdoc/?q=grp02)
我が国においては、スギやカラマツといった国産の木材でも、十分な強度を有するCLTパネルを製作することが可能であり、国産木材の需要拡大の一つとして期待できます。
※2 ZEBとは
Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略で、「ゼブ」と呼びます。快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことです。