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「平成12年(2000年)有珠山噴火」噴火状況(2000年3月)

有珠山2000年噴火
2000年3月31日撮影
2000年4月1日作成・2000年6月19日更新
サイロ展望台アニメ
更新・サイロダイヤグラム掲載
 有珠山では、2000年3月27日より群発地震が発生、地殻変動がはじまりました。火山噴火が近いということが明確に周知され、あらかじめ作成されていたハザードマップに基づき、近隣の1万人ちかい住民が避難しました。有感地震が減少してきた3月31日午後1時10分、ついに西側の山麓でマグマ水蒸気爆発が発生、高度3200mまで噴煙が到達しました。アジア航測では、噴火予知を受け緊急撮影を行いました。噴火直前の3月31日の午前中と、最初の噴火の最盛期の2時30分ごろに撮影をすることができました。ここでは、それらの空撮写真の一部を紹介します。  その後、新たに生じた複数の火口から水蒸気爆発を間欠的に繰り返しており、予断を許さない状況が続いています。7日までに火口の数は30ケ所以上に達しました。中でも最大の金比羅山中腹の火口の直径は100mを越えるほどになり、周辺には噴石丘が形成されています。また、いくつかの火口からは熱泥流が流出しまし洞爺湖に達しました。  一方、3月31日の軽石の分析から、マグマの性質が1977-78年噴火と類似していることが明らかになりました。その後、西山西側と、金比羅山に生じた複数の火口から、間欠的に水蒸気爆発を繰り返す噴火が続いてきましたが、14日になって、火山噴火予知連から短期的に見れば安定した状況が続いているという見解が出され、伊達市・壮瞥町・虻田町では、火口から離れた地域から、順次避難指示を解除してきました。  その後、西山金比羅両火口群を中心とする地域での、地盤の広域的な隆起と側方への拡大が顕著となってきました。5月中旬になって、広域的な変動速度は低下してきましたが、西山火口近くでは隆起の集中が明確となり、5月下旬になって新山が形を明らかにし始めました。
 現在、噴火は徐々に弱まりつつあるように見えますが、まだ予断を許さない状況で安心することはできません。危険を伴う懸命な調査・観測が続けられています。
現在、西山火口から半径3km、高度3000メートル以下の航空機の飛行は禁止されております。

3月31日朝に空港を飛び立ち、9時頃に有珠山山頂から地殻変動の現れた北西山麓周辺を撮影いたしました。着陸直後の午後1時過ぎに、噴火したとの報告を受け、ただちに再び撮影に向かい、ちょうど噴火の最盛期(午後2時26~27分)の映像をとることができました。

有珠山噴火最新情報     

■西山側の火口付近の隆起状況 2000年6月19日更新 ■サイロ展望台定点画像比較アニメーション
 このアニメーション画像は、西山側の火口周辺の隆起状況を、サイロ展望台からの画像比較で検討するために作成したものです。使用した画像は、以下の2枚で、10段階に濃度を変えてアニメーションとしています。
 噴火前の写真では見えていないごみ焼却場の煙突が、4月中旬ごろからNHKの中継画像などで確認できるようになりました。この時期の鮮明な写真は、4月20日付けの朝日新聞朝刊1面に掲載された4月19日早朝の写真があります。
 このような稜線プロファイルの比較という手法は、昭和新山形成時の「三松ダイヤグラム」の手法に通じるもので、隆起量やその速度・位置の変化をとらえるのに、直感的で優れた方法であると思われます。本ページでは、このアニメーションを、より多時期のものに更新したいと考えております。
動画-4

サイロ展望台定点画像比較アニメーション(4)

  • (新)2000年6月10日 早川由紀夫先生撮影NEW
  • (旧)1997年5月1日15時 藤田浩司撮影
動画-3

サイロ展望台定点画像比較アニメーション(3)

  • (新)2000年5月29日15時 千葉達朗撮影(雨上がりの好天)
  • (旧)1997年5月1日15時 藤田浩司撮影
動画-2

サイロ展望台定点画像比較アニメーション(2)

  • (新)2000年4月29日7時 藤田浩司が撮影(春がすみ)
  • (旧)1997年5月1日15時 藤田浩司が撮影した有珠山全景写真
■サイロダイヤグラム(2000/05/29版)
 サイロ展望台から撮影された、複数の時期の写真やビデオ映像をもとに、稜線をトレースして重ね合わせ、三松ダイヤグラム的なものを作成してみました。「サイロダイヤグラム」とよびたいとおもいます。稜線のギザギザを比較すると、隆起は単純に垂直に上昇しているのではなく、水平移動成分も伴っていることがわかります。たとえば、西山付近(ゴミ焼却場の煙突の上)では、図上左上方向(東・上)に、斜めに隆起しているようです。
■印刷物の紹介
写真測量学会誌「写真測量とリモートセンシング」誌の
口絵「カメラアイ」に投稿しました。
■火口群・断層群の分布状況 2000年4月26日更新
図-1
西山付近から金比羅山にかけて4月4日現在  この分布図は、主にマスコミに各社(主として、NHK、テレビ朝日)よる、テレビ放映画像を使用して推定したもので、新たに空中写真を撮影して判読したものではない。判読は、時間差キャプチャーステレオ画像を使用し、正確を期した。なお、断層の位置については、NHKで放映された自衛隊撮影の写真が大変役に立った。また、金比羅山周辺の火口位置に関しては、北大で公開されている位置図も参考にした。なお、基図として、国土地理院発行2.5万分の1数値地図「虻田」の一部を使用した。なお、4月5日15時現在、これ以外に少なくとも3ケ所の火口があることがわかっている。(作成責任者:藤田浩司)
図-2
西山付近か金比羅山にかけて4月6日現在(4/7追加)  この分布図は、主にマスコミに各社よる、テレビ放映画像を使用して推定したもので、新たに空中写真を撮影して判読したものではない。特に自衛隊撮影の写真は非常にに参考になった。判読は、時間差キャプチャーステレオ画像を使用した。なお、基図として、国土地理院発行2.5万分の1数値地図「虻田」の一部を使用した。なお、4月6日15時現在、これ以外に少なくとも10ケ所以上の火口があることがわかっている。(作成責任者:藤田浩司)
図-3
西山付近から金比羅山にかけて4月9日暫定版(4/10追加)  この分布図は、主にマスコミに各社よる、テレビ放映画像を使用して推定したもので、新たに空中写真を撮影して判読したものではない。特に自衛隊撮影の写真は非常にに参考になった。判読は、時間差キャプチャーステレオ画像を使用した。CRLが公表しているSAR画像を参考にしたが、一部未完成である。なお、基図として、国土地理院発行2.5万分の1数値地図「虻田」の一部を使用した。(作成責任者:藤田浩司)
図-4'
西山付近から金比羅山にかけて4月12日の状況(4/12追加・14修正  この分布図は、主にマスコミに各社よる、テレビ放映画像を使用して推定したものである。特に航空自衛隊4月7日撮影の空中写真、および陸上自衛隊4月11日撮影のVTR画像は、大変参考になった。その後、郵政省総合通信研究所による4月12日取得のSAR画像、および、国土地理院4月3日撮影の空中写真を判読し、火口の位置や断層の位置に修正を加えた。なお、基図として、国土地理院発行2.5万分の1数値地図「虻田」の一部を使用した。(作成責任者:藤田浩司)
図-5
西山付近から金比羅山にかけて4月24日の状況(4/26追加)  この分布図は、マスコミ各社のテレビ放映画像、およびインターネット上の各種画像情報をもとに、独自に火口、火砕丘、泥流、断層、崩壊地などの分布図を作成したものである。特に、国土地理院4月18日撮影の垂直空中写真(WEB画像のみ)、有珠山土砂災害対策専門家チームの空撮写真、陸上自衛隊撮影のヘリ写真、地質調査所の風早さん撮影の写真は、大変参考になった。これらの情報を総合し、4月24日の分布図として試みに整理したもの。
 金比羅山火口南側の崩壊地がは、これまで小規模な火口があった地点のやや背後に位置する。直下に厚い崩壊堆積物が見られないことから、崩壊土砂は岩屑流/泥流として下流に移動したものと推察される。有珠山土砂災害対策専門家チームは、国道230号線の橋を流失させた4月9日西山川の熱泥流は、この崩壊地直下の火口から発生したと報告している。下流部の洞爺湖温泉街の泥流水路周辺では、あふれ出た堆積物の表面に小規模なマウンドが散見される。なお、基図として、国土地理院発行2.5万分の1数値地図「虻田」の一部を使用した。(作成責任者:藤田浩司)


■2000年3月31日噴火関連斜め写真

■噴火直前の状況 2000年3月31日午前撮影
写真-1
洞爺湖温泉街と有珠山 中央やや右寄りに見えるのが金比羅山、左手前の洞爺湖畔にあるのは西丸山。1910-11年噴火の最終段階で形成された四十三山(よそみやま)潜在円頂丘は、画面の左端にその一部が見えているが、大半は写真の外側にある。
写真-1b
有珠山北麓にある洞爺湖温泉街(4/10追加) 中央やや右寄りに見えるのが金比羅山、左手前の洞爺湖畔にあるのは西丸山。金比羅山の右脇からは、泥流対策の流路工がゆるやかにカーブしながら洞爺湖まで延びている。
写真-2
金比羅山(こんぴらやま) 洞爺湖温泉の南西に位置する潜在円頂丘。形成時期は不明であるが、1910-11年噴火の際には、その山頂や周辺に多数の爆裂火口が生じた。4月8日現在最も大きな直径100mの火口のある位置は、ほぼ正面の中腹にあたる。
写真-2b
金比羅山と洞爺カルデラ 中央やや右側手前にある崖が、洞爺カルデラ。金比羅山は洞爺湖温泉の南側に位置する。ほぼ円形の潜在円頂丘であり、洞爺カルデラのすぐ内側ともいえる。4月13日現在、2ケ所の火口群の間に位置する地域で地盤の隆起が激しいと報告されているが、その位置はこの写真の右端付近にあたる。(4/13コメント追加)
写真-3
西山(にしやま)西麓付近 31日13時10分の最初の噴火は、写真中央右寄りの林道と国道の中間付近に生じた。また、4月1日以降複数の火口が形成され、断層が発達し、4月8日現在では、ほとんど面影を残していない。
写真-4
屏風尾根で確認された小断層 林道を横断する地割れは、クローズアップで見ると、それを境に写真手前(北西方向)側が数十センチ沈降している小断層であることがわかる。
■2000年3月31日午後1時07分の噴火 午後2時26~27分撮影
(サイロ展望台からの連続DV画像(地質調査所)との比較で確認) 画像中に埋めこんだ、コピーライト表示の脇に示した撮影時刻は正しくないものがあります。
写真-5

マグマ水蒸気爆発による高い噴煙(1)風上側のほぼ西方向から撮影したものである。旋回中のため機体が傾いており、斜めに写っている。水平になるように補正した後の写真

写真-6
マグマ水蒸気爆発による高い噴煙(2) 一つのように見える火口が、列状に並んだ5つの火口から一斉に噴火している。火口列に直交するほぼ南~南西方向から撮影したものである。火口の周囲をとりまくように、白っぽい低い噴煙が見える。
写真-7
マグマ水蒸気爆発による高い噴煙(3) ちょうど噴火の最も激しい瞬間の写真。連続的上がる噴煙が、二つの垂直に立ち上がるキノコ雲を生じさせている。右側方向の噴煙の下に見える黒いカーテン状に見えるものは、降下中の火山灰である。南~南東方向から撮影。
写真-8

マグマ水蒸気爆発による高い噴煙(4)上の写真の直後の写真で、降下中の火山灰の状況がよくわかる。南東方向より撮影。

写真-9
マグマ水蒸気爆発による高い噴煙(5)(4/10追加)  列状に5つ並んだ火口から、すさまじい勢いで噴出された火山灰は、上空に舞い上がり、3200mに達した。洞爺湖温泉の東半分には、火山灰がまさに堆積しつつある。この火山灰は、南西の風によってまず北東方向に流れ、最終的に札幌方面にまで達した。なお、噴煙柱の根本に見える淡い色の噴煙は、渦を巻きながら地を這うように国道に沿って低い方向へ流れている。

■有珠火山噴火関連リンク集 (2000/06/07修正)

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