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「令和2年7月豪雨」被害状況(2020年7月)第三報
八代海での流木等漂流物の状況からみる漁業等への影響 |
更新日:2020年8月4日 ver 1.00
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■緊急撮影範囲 | |
図 1.1に撮影範囲のほか、沿岸の各協同組合の位置 A~E 、さらに図 2.1示す八代海の流況概要の範囲を黒枠で示す。撮影範囲は八代海北部の宇城市から芦北町の沿岸、南北約 50km、東西約 20kmであり、この範囲には至る箇所で河川から流出したと思われる漂流物の流木やヨシが空中写真で確認されている。 |
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図 1.1 位置図と球磨川河口域の斜め写真 |
■八代海の特性 | |
漂流物の拡散に影響を及ぼす、八代海の流れ(流況)について述べる。 八代海は、東を九州本土、西を天草諸島、南を長島、北を三角半島に囲まれた北-南方向約90km、東西約20kmの細長い湾である。図 2.1は海上保安庁の八代海における流況概要(7月10日12時の予報)である。八代港から水俣港の間の東側では 0.5 ノット以下の南向きの流れが見られる。また、八代海と接する大戸ノ瀬戸(a)、元ノ尻瀬戸(b)、長島海峡(c)、黒瀬戸(d)では強潮流があり、黒瀬戸では 2 ノット(時速約 3.7km)を越えている。なお、八代海は日本最大の干満差が生じる有明海(島原湾)と接しており、潮位は平均水面が 2.15m と大きい。(資料:海上保安庁第十管区海上保安本部ホームページ) 。 |
図 2.1 八代海における流況概要 |
■八代海の流木等の状況 | |
緊急撮影の主な空中写真の位置を図 3.1に、各空中写真をその下に示す。 図 3.1 写真位置 |
■沿岸の漁業 | |
次に図1.1に示す八代海沿岸の各漁業協同組合で行われている主な漁業について表 4.1に整理した。各漁協とも、網漁やかご漁、あるいは養殖業が盛んである。
表 4.1 八代海沿岸の各漁業協同組合で行われている主な漁業 |
■まとめ | |
空中写真の範囲は八代海北部から中央部であったが、ほぼ全域にわたって流木が見られた。流木は沖で帯状に漂うもの、厚い層を形成しているもの、漁港内や海岸に堆積しているものなどそれぞれであった。八代海内では前章に示したように、各種漁法による水産業が営まれており、これら流木による以下の漁業被害が発生する可能性がある。 ・流木による固定漁具・目印のブイの破壊。 ・流木による養殖施設の破壊、施設内の養殖魚が逃げ出す。 ・流木が船舶の航行に支障をきたすため、特に夜間操業(棒受け網漁)の危険度が増す。 ・コロナ禍で高級魚の魚価が非常に低下している中で、この豪雨による被害は大きな痛手。 また、八代海は外海と各瀬戸や海峡でつながっており、そこでは2ノットを越える強い潮流も発生しているため、流木はこれら外海への流出することも想定される。 現在、国や熊本県では流木の回収を行っているが、この作業を効率的に行うには「流木の分布図」(写真撮影の時点となるが)の作成が望まれる。 |
■ 更新履歴 |
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