技術開発・事業開発
航空機SARによる全天候撮影の取り組み
図1 航空機SAR設置状況
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SARとは?
SARとはSynthetic Aperture Radarの略で、合成開口レーダと言います。レーダの一種で、自ら電波を発し、対象物に反射した電波を受信して観測します。マイクロ波により高分解能の地表面等の映像を得るリモートセンサで、衛星や航空機に搭載されます。
合成開口レーダは、雲や降雨、火山噴火の影響を受けず、夜間でも観測可能です。
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航空機SARによる観測事例
アジア航測(株)は、2009年からアルウェットテクノロジー(株)と共同で、航空機SARの実用化に向け、撮影体制の構築を行ってきました。 現在、アジア航測(株)が保有するセスナ機専用のマウントシステムが開発され、災害時の被害状況把握のための緊急撮影に取り組んでいます。
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単偏波画像のマルチパス・カラー合成
災害直後、最も迅速に被害を把握する方法として、アーカイブデータを必要としない単画像判読が有効です。
単画像判読では、モノクロ画像をカラー化することで地形や地物の視認性が向上します。一般的には多偏波画像を用いて各偏波をR,G,Bに当てはめる方法が知られていますが、単波編画像でも相対的に解像度が高いものをカラー化すれば、さらなる視認性の向上が望めます。また山間地では、レイオーバーやレーダーシャドウの影響により判読不可能箇所が生じやすいのですが、航空機SARにより複数の照射方向から観測することで、これらの影響を低減できます。
単偏波画像の疑似カラー化は、元画像をGに、テクスチャ解析等を行った結果をR、Bに割り当てます。森林や河川敷がグリーンに、集落や崩壊地がマゼンタに、水部がブラックに色付けされ、地表の状態を明瞭に把握できます。水部も識別可能ですので、津波や洪水などで冠水した箇所の抽出も容易です。さらに東西南北の4方向から観測した画像それぞれを疑似カラー化し、輝度が最も高い画素を表示させることでマルチパス合成画像を作成できます(図4)。大きいオフナディア角でレイオーバーによる欠測を少なくした画像を合成し、レーダーシャドウを補完することで、急斜面で発生する崩壊地の判読に適する画像となります。
単偏波画像の疑似カラー化は衛星SAR画像にも適用可能であり、都市域においても建物、道路、河川等の識別を容易にします。また航空機の機動性を活かしたマルチパス合成は、南北方向に限定された衛星では把握が困難だった斜面が視認可能となり、このような技術は豪雨や地震時に発生する深層崩壊や天然ダムの探索への活用が期待できます。
引用文献:
1) 角田里美・服部聡子・金田真一・沼田洋一・織田和夫:航空機SAR単偏波画像のマルチパス・カラー合成,写真測量とリモートセンシング, VOL53, No.2, p.60-61,2014
* 航空機SAR撮影は、アジア航測(株)とアルウェットテクノロジー(株)の共同で実施しています。
** 特許出願中(特願2013-272474)