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天然ダム決壊による被害想定

天然ダム決壊シミュレーションによる大規模土砂災害対策における事前分析(プレアナリシス)


平成22年の土砂災害防止法(土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律)の改正により、大規模な土砂災害(天然ダム、火山噴火に伴う土石流、地すべり)が急迫した場合、緊急調査を行い、緊急調査の結果を市町村に通知し、一般住民へ周知することが必要になります。このため、大規模土砂災害の発生前に、被害影響範囲などの事前分析(プレアナリシス)を行い、対応をあらかじめ検討しておくことが、危機管理上、非常に重要です。 (図は赤色立体地図を用いた天然ダム位置の想定)

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提案概要


アジア航測は、航空レーザ計測の解析技術、天然ダム決壊シミュレーション技術などを融合することにより、大規模土砂災害の発生前に、どこに危険箇所が分布しているのか、被害が発生した場合、どの程度の被害が想定されるのか、把握し、大規模土砂災害の危機管理計画がより具体的にすることを提案します。

また、本技術を用いた危機管理型の砂防施設配置計画(たとえばシャッター付砂防えん堤の活用など)を策定することで、既往施設の機能向上による減災対策に結びつけることも可能となります。

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解析方法


大規模土砂災害対策における事前分析として、①砂防河川の流下能力判定(現状での危険箇所の概略把握)と②天然ダム決壊シミュレーションによる被害想定を行います。

①砂防河川の流下能力判定
砂防河川の流下能力判定は、航空レーザ計測による詳細地形から、砂防河川における流下能力を不等流解析により把握します。これにより、現状の砂防河川の河床断面がどの程度の流下能力を有しているか、すなわち、どの程度の洪水まで安全に流下できるか、どこがトラブルスポットとなるかを把握できます。

②天然ダムの決壊シミュレーションによる被害想定
天然ダム決壊シミュレーションによる被害想定は、はじめに、既往の深層崩壊のおそれのある渓流の抽出結果を参考に、航空レーザ計測データによる詳細地形判読などに基づき災害シナリオを作成します。
次に、天然ダムが決壊した場合の決壊流量を、アジア航測と京都大学、(財)砂防フロンティア整備推進機構が共同開発した天然ダム決壊シミュレーション技術(LADOF)1)2)により推定します。
天然ダム決壊ピーク流量と砂防河川の流下能力の関係から、天然ダムが決壊した場合、洪水・土砂氾濫が発生する箇所(トラブルスポット)を把握します。
このトラブルスポットから、二次元氾濫計算を実施することにより、天然ダム決壊時に想定される洪水・土砂氾濫による被害影響範囲を把握します。

図4 天然ダム決壊による被害影響範囲

天然ダム決壊による被害影響範囲

 

■参考文献
1)里深好文、吉野弘祐、小川紀一朗、水山高久(2007):天然ダムの決壊時のピーク流量推定に関する一考察 砂防学会誌Vol.59,No.6,p.55-59
2) 里深好文、吉野弘祐、小川紀一朗、森俊勇、水山高久、高濱淳一郎(2007):高磯山天然ダム決壊時に発生した洪水の再現 砂防学会誌Vol.59,No.6,p.32-37


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