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「河川管理の未来を切り拓く」 3DWebGISを活用した「X-EVA(クロスィーバ)」システムを共同開発
2025/12/22
~東京大学・日本工営・建設技術研究所と連携、河川管理のDXを加速~
アジア航測株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:畠山 仁)は、国立大学法人東京大学、日本工営株式会社、株式会社建設技術研究所とともに、東京大学大学院工学系研究科「i-Construction システム学」寄付講座を通じて、3DWebGISを活用した河川管理検討プロセスの高度化・省力化システム「X-EVA」(クロスィーバ)を共同開発しました。
IT 技術の進展やインフラの担い⼿の減少等を背景として、国⼟交通省ではi-Construction の取り組みが進められています。河川分野では、定期的に実施される河川の縦横断測量にて、陸部・⽔部の地形をALB(航空レーザ測深︓Airborne Laser Bathymetry)を活⽤して3D で取得しており、データの蓄積が進んでいます。X-EVA は、3D 河道測量をはじめとした河川分野の蓄積データを取り込み、河床変動解析を実施し、解析結果と合わせて、3DWebGIS 上で河道・護岸等のリスクを⼀元的に把握するシステムです。リスクを早期に把握することで、河川管理者の意思決定⽀援や住⺠の安全確保に貢献することが可能となります。

図-1 「河川管理検討プロセスの高度化・省力化システム「X-EVA」(クロスィーバ)」の全体像※1
※1藤原圭哉,佐藤誠,⼭下千智,⿊⽥直樹, ⻲⽥敏弘: 3Dデータと河床変動解析を活⽤した河川分野におけるデジタルツインの実現に向けての提案,AI・データサイエンス論⽂集, 5巻1号, pp126-133, 2024.
X-EVA(クロスィーバ)の主な特徴・⽤途
・各種河川データを⼀元的に可視化する仕組みとして、3DWebGISのCesiumを活⽤したシステムを構築。3D河道測量成果を各種河川データと重ねて表⽰・⽐較することで、河道対策の優先度(緊急性)評価を可能にしています。
・具体的な事例として、施設評価の観点で、3Dデータによる河床⾼と護岸基礎⾼の⽐較が可能なほか、治⽔評価の観点で、システム内にある河床データから流下能⼒評価に必要な断⾯データを提供することが可能です。
・河床変動解析には、iRIC※2のNays2DH※3をエンジンとしたシステムと連携し、解析結果を3DWebGIS内に反映することで、対策効果の検証結果を可視化します。
※2 ⽔⼯学に関連する数値シミュレーションソフトウェアの総称 ※3iRIC のソフトウェアのうち、河川の流れや河床変動解析が可能なソルバー
・ WebGIS上に反映されるデータや河床変動解析システムのインプットデータは、逐次更新されており、最新の河道状況を3DWebGIS上に反映が可能。これによりデータ整理や更新作業の効率化がはかられ、⾏政の維持管理コストの費⽤対効果の向上に貢献します。
・河床変動解析結果から危険箇所を抽出し、マップアプリの表⽰に加え、アラートメール通知の仕組みを構築。迅速な対応を⽀援します。
現在、国⼟交通省 ⽔管理・国⼟保全局の流域データプラットフォームの取り組みや、国⼟交通省 都市局が推進するProject PLATEAUなど、インフラに関するオープンデータ化やシステム間連携が活発化しています。今後は、これらの動向も踏まえ、X-EVAをインフラ施設の維持管理業務に活⽤し、データ連携及び利活⽤を促進することで、河川管理者の業務の効率化・⾼度化を目指します。X-EVAは、2025年12⽉より河川の維持管理に係る自治体等へのサービス提供を開始する予定です。
アジア航測は、今後も空間情報技術を活用し、安全・安心で持続可能な社会の構築に貢献してまいります。
なお、本成果に関する論文・発表は以下となります。
論⽂1: 藤原圭哉,佐藤誠,⼭下千智,⿊⽥直樹, ⻲⽥敏弘: 3D データと河床変動解析を活⽤した河川分野におけるデジタルツインの実現に向けての提案,AI・データサイエンス論⽂集, 5巻1号, pp126-133, 2024.
※デジタルツイン・DXシンポジウム2024にてデジタルツイン・DX奨励賞を受賞
論⽂2: 佐藤誠,⼭下千智,⿊⽥直樹, ⻲⽥敏弘, 藤原圭哉: 自動更新機能を有するリアルタイム河床変動計算と危険箇所のアラート通知システムの開発, 河川技術論⽂集, 第29巻, pp.293-298, 2023.
論⽂3: 藤原圭哉,佐藤誠,⻲⽥敏弘,泉典洋,堀宗朗: 河川管理検討プロセスの⾼度化・省⼒化システム(X-EVA)の提案,河川技術論⽂集, 第28巻, pp.247-252, 2022.
開発体制
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⽇本⼯営 |
施設評価モデルの開発(WebGISシステム構築及び河床変動解析省⼒化ツール改良) |
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東京⼤学 |
共同開発成果の全体的な助言 |
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建設技術研究所 |
河床変動解析省⼒化ツールの開発、アラートメール通知の仕組み構築 |
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アジア航測 |
ALBを活⽤した研究⽤3D河道データの取得 |
■ プレスリリース(PDF・1.40MB)

