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2016/05/13

「平成28年熊本地震」災害状況 第二報(2016年4月) 

 

平成28年(2016年)熊本地震 第二報

 第一報はこちらから

 このたびの災害においてお亡くなりになられた方に謹んで哀悼の意を表します。また、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

 2016年4月14日21時26分、熊本県直下を震源とするマグニチュード6.5の「平成28年熊本地震」が発生しました。この地震のあと、16日午前1時25分ごろ、震度6強(マグニチュード7.3)の地震が発生しました(のちに震度7に訂正)。この地震を受けて会見した気象庁は、「今回が本震で14日夜の震度7の地震が前震とみられる」との見解を示しました。いまもなお、多くの余震が発生しています。


 アジア航測では、この災害に対して被災地の緊急撮影を実施いたしました。得られた情報は随時ホームページ上で公開して参ります。

 弊社技術が、現地の詳細解明ならびに二次災害の抑制に少しでもお役に立てれば幸いです。

 
更新日:2016年5月13日    ver 5.1

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阿蘇五岳付近の土砂移動域(垂直空中写真による概略判読)  

 4月29日に撮影した高高度撮影垂直空中写真(DMC)を用いて、阿蘇五岳(中央火口丘)付近を対象に、土砂移動域の概略判読を行いました。

この結果、烏帽子岳周辺と楢尾岳北斜面で非常に広範囲に及ぶ土砂移動が発生していること、それ以外にも草千里ヶ浜・往生岳・杵島岳・中岳・高岳のそれぞれの周辺斜面で土砂移動が多発していること、がわかりました。一方で根子岳周辺には地震前から多くの崩壊地がありますが、空中写真で見る限り、そのほとんどは大きく変化していない様子でした。

なお、これ以外に、斜面上には非常に多くの亀裂が見つかりました(下の記事で示した高高度撮影垂直空中写真(DMC)参照)。

亀裂は土砂移動域の周辺だけでなく、それ以外の斜面にも分布していることが確認できました。

 

 

図1 阿蘇五岳付近の土砂移動域概略判読図  クリックするとpdf(0.6MB)が開きます

  

阿蘇五岳 高高度撮影垂直空中写真(DMC)  

 

阿蘇五岳(中央火口丘)付近を対象に、噴煙の影響を避けるために高高度から垂直空中写真の撮影を行いました。

この結果、外輪山や西側丘陵地と同様に、阿蘇五岳付近でも崩壊地や地すべり、および斜面上の亀裂が非常に多く発生していることが分かりました。

その写真の一部を掲載します。

 

 

図1 撮影コース図  クリックするとpdf(1.45MB)が開きます

 

平成28年熊本地震

図2 写真番号 C3-04

 

烏帽子岳~その西側の小丘にかけて多数の崩壊が発生しており、崩壊面積率は極めて大きな値になると想定される。烏帽子岳周辺の急斜面では地震前から、崩壊地や急崖の裸地がいくつか存在したが、それと比較して明らかに拡大している。尾根筋や残存した斜面には至る所に亀裂が入っており、そのうち分かり易い箇所を次の拡大図に示す。

 

図3 写真番号 C3-04の拡大図

 

崩壊地(一部は地すべり性)の背後斜面や尾根筋に亀裂が多数確認できる。左下の道路が分断しているのは、地すべりの変動によるものと判断される。

 

 

図4 写真番号 C1-10

 

中岳北方にある楢尾岳の北斜面。写真上半分に多くの崩壊地が認められ、崩壊面積率は極めて大きな値になると推定される。尾根筋のごくわずかな領域にのみ植生を残し、両側斜面が全て崩壊している部分も、多く認められる(例として次に拡大図を示す)。平成24年九州北部豪雨の際にも多くの崩壊が発生した箇所ではあるが、当時よりも明らかに拡大している。なお写真下半分は火山性の裸地である。

 

 

図5 写真番号 C1-10の拡大図


尾根筋のごくわずかな領域にのみ植生を残し、両側斜面がほぼ全て崩壊している。残った尾根上にも多数の亀裂が入り、変動しているのがわかる。

 

 

阿蘇五岳(中央火口丘)付近の垂直空中写真から、簡易オルソ画像を作成しました。
下のコンテンツは地形を立体的に見るために、3D化したものです。画面を操作することで拡大・縮小・回転させて地形を見ることができます。阿蘇五岳周辺の崩壊地や地すべりなどの様子を俯瞰することが可能です。
*ALOS全球数値地表モデル (DSM) "ALOS World 3D - 30m" (AW3D30)を使用しました。

 

画像をクリックすると別ウィンドウが開き、操作することができます。(Chrome推奨・表示に少し時間がかかります)

 
〇操作方法
 拡大・縮小:ホイールを回転
 回転   :左クリックしながらドラッグ
 並行移動 :右クリックしながらドラッグ
 座標値取得:左クリックすると、左上に緯度経度標高が表示(この数値は参考値です)

 

注)立体図を閲覧するには、Internet Explorer 11、Google Chrome、Firefox をご使用ください。
   ハードウェア等環境によっては動作しない場合があります。
   また、Mac版Safariで閲覧する場合、「環境設定」で開発メニューを有効にし、開発メニューから「WebGLを有効にする」を選択してください。
 なお、立体図は出典を明示していただければ、自由にご利用いただけます。

 

  

2時期レーザ計測比較による地殻変動解析の試み  

4月14日の地震発生を受け、地震断層の確認を目的として4月15日に航空レーザ計測を行いました。

その翌日4月16日未明にさらに大きな地震が発生し、この範囲でも地震断層が生じたことがわかりました。

そこで、4月23日に同コース、同機体、同装置による2回目の航空レーザ計測を行いました。

 

今回、2時期のレーザ計測結果から、地震断層の確認や詳細な変位の確認を試行しました。 なお、各時期の計測データは、同一システムにより処理を行っています。

 

図1 地震発生前後のレーザ計測範囲

平成28年熊本地震

図2 4月15日と4月23日の赤色立体地図の比較(益城町上陳地区 津森小学校付近)


この付近では、中央付近を境に、上(北)側が右(東)方向に移動しており、右横ずれ断層による変位が明瞭である。

 

図3 広域差分図


そこで、2時期の高度差を求めカラー表現を試みた。
マイナス10mが藍色、マイナス2mが青色、0mが白色、プラス2mが赤、プラス10mが黒赤色である。全域の差分図を図3に示す。

住宅等の被害、特に家屋全壊の場合数m以上のマイナスになるので この図上では青色に表現されており、特定の狭い範囲に集中している傾向が見られる。
画像中央の平野部および平野と南側の丘陵の境界には 地震断層による変位も確認できる。
画像中央付近の益城町三竹地区の北方(図3中の枠線部分)では、断層が2本並走しそれらと交わる断層も見られることから、サンプル的に差分図を拡大し変動を精査した。

 

図4 赤色立体地図と差分図の合成(差分量と色の関係をわかりやすくするために、白色部分をマイナス 0.8mに設定)

①付近の盛土では、西側に青色、東側に赤色が見られることから、東方向に移動していることが読み取れる。この移動傾向は、この盛土周辺にある水田の畔でも認められる。畔のずれによる青色部分の幅は、②③④方向に伸びる断層線を境に南側で小さくなるため、この断層は右横ずれ断層と推定できる。垂直変位は②③付近では北下がりであるが、③~④地点ではほとんど相対的な高度差は認められない。
⑤~⑥にかけて断層が確認できる。断層南側に位置する畔の西側には青色が見られるが、断層北側では認められない このことから⑤~⑥に伸びる断層は左横ずれ成分を持っていると推定できる。⑤⑥付近では、局所的な隆起が確認できる。
⑦~⑧の断層より南側では、家の東側に青色が現れ西側に赤色が現れていることから右横ずれ断層と考えられる。⑦付近では相対的に北落ちであるが、⑧では北上がりである。
⑨付近には、畔の両側に変位が見えていないため、水平移動成分がほとんどないと考えられる。

 

図5 横ずれ断層の動きを差分図から読み取る方法


南北方向に連続する台形の道路盛土が西から東に移動した場合、差分図では西側にマイナス、東側にプラスの変位が現れる。この様な垂直変位パターンから水平移動の傾向を知ることが可能である。
ただし、移動量の大きさは着色の幅で表現され 濃さは関係ないことに注意が必要である。

<益城町現地写真>

図2.及び図4.のエリアの現地写真はこちらから。

 

  

4月15日前震直後の被災家屋判読結果  

アジア航測では、前震直後の2016年4月15日に、自主撮影・計測(DMC垂直写真撮影:地上解像度16cm(一部9cm)、LP計測:密度1.5~2点/㎡)を実施し、被災した家屋の判読を行いました。

【判読範囲(いずれも一部):熊本市、宇城市、美里町、西原村、御船町、嘉島町、益城町、甲佐町】

また本震後の4月23日に、再度自主計測(LP計測:密度3~4点/㎡、LPオルソ:地上解像度25cm程度)を熊本市東区、嘉島町、益城町及び西原村を中心に実施しました。

 

ここでは、判読結果ならびに前震・本震による家屋被災状況を掲載します。

平成28年熊本地震 平成28年熊本地震
・4月15日撮影・計測(前震後、本震前)

被災家屋は広範囲に広がっており、撮影範囲で約6,500棟を数える。

そのうち、約2,400棟にはブルーシートによる応急措置が行われていたが、約4,000棟は瓦が崩落したままで、応急措置は取られていない。

・4月23日計測(本震後)

赤枠は4月15日の撮影・計測範囲を示す。

■「前震後・本震前」(左)と「本震後」(右)の比較
平成28年熊本地震 平成28年熊本地震

①益城町宮園付近の写真(震度7)

写真中央の宮園公民館が倒壊しており、道路を塞いでいる。また比較的新しい家屋の外壁が見え、1階部分が倒壊しているとみられる。(4月15日撮影・計測)

①益城町宮園付近の写真(震度7)

前震によって倒壊しなかった家屋の多くが、本震によって倒壊したことが確認できる。(4月23日計測)

平成28年熊本地震 平成28年熊本地震

②益城町杉堂付近の写真(震度7)

地区の南に布田川断層が走る。前震によるブルーシートの応急措置の家屋があるものの、大きな家屋被害は認められない。(4月15日撮影・計測)

②益城町杉堂付近の写真(震度7)

本震により、地区内の半数程度の家屋が倒壊している。(4月23日計測)

平成28年熊本地震 平成28年熊本地震

③益城町島田付近の写真(震度7)

地区の南に布田川断層、南東部に日奈久断層北端部が走る。 地区内の4割超の家屋で被害が認められ、数棟の家屋倒壊が確認できる。(4月15日撮影・計測)

③益城町島田付近の写真(震度7)

本震により、地区内の半数以上の家屋が倒壊している。倒壊した家屋は、原形をとどめていないものが多い。(4月23日計測)

平成28年熊本地震 平成28年熊本地震

④西原村河原付近の写真(震度6弱)

ブルーシートによる応急措置の家屋が1棟あるが、家屋被害はほぼ認められない。(4月15日撮影・計測)

④西原村河原付近の写真(震度7)

瓦屋根の家屋を中心に被害が認められ、ブルーシートによる応急措置の家屋が増加している。また、中央上部にある白山姫神社の倒壊が確認できる。(4月23日計測)

平成28年熊本地震 平成28年熊本地震

⑤熊本市東区沼山津3丁目付近の写真(震度6弱)

約2割の家屋で瓦屋根の崩落・崩壊がみられ、また古い家屋の数棟が倒壊している。(4月15日撮影・計測)

⑤熊本市東区沼山津3丁目付近の写真(震度6強)

倒壊した家屋が十数棟みられる。倒壊した家屋はすべて瓦屋根の家屋であり、一部はねじれたように倒壊している。(4月23日計測)



■ 本ページについて

このページでは、弊社による自主撮影結果を掲載しております。現在の状況把握や今後の防災対応等の資料としてご活用いただき、現地の復旧にお役に立てれば幸いです。

本ページで紹介している画像は、撮影した斜め空中写真の一部を、サイズを縮小して掲載しています。斜め空中写真のオリジナル画像やデータに関するお問い合わせは、以下までお願いいたします。

 

【お問い合わせ先】

 

■報道関係の方はこちらへ

 アジア航測株式会社 経営企画部 

      〒215-0004 神奈川県川崎市麻生区万福寺1‐2‐2 新百合トウェンティワン
   TEL:044-969-7290 FAX:044-965-2598

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■行政・研究機関・企業のお客様はこちらへ

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   E-mail:service@ajiko.co.jp

 

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下記の要領で、災害写真の使用許諾申請書をFAX、郵便、または電子メールにてお送りください。
審査のうえ、許可書をお送りいたします。


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※弊社ホームページ掲載画像以外の高解像度データまたは焼き増しした写真をご提供する場合は別料金となります。

 

【送付先】

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