デジタル航空カメラによる画像データに対し、レーザ光によって直接地形や地物の形状を3次元点群データとして取得する測量技術があります。この技術は年を追うごとに革新され、当社は常に最新の計測システムを導入してきました。1998年に運用を開始した航空レーザ計測システムは、上空からのレーザ発射レートが毎秒5,000発でしたが、2013年に導入したALS70は毎秒50万発へと急激に進化し、広域の地形を高精度に測量することが可能となりました。2015年には、それまで不可能だった水底の測定ができるALB(Airbone Lidar Bathymetry)センサChiroptera-4xを導入し、河川や港湾における高度な管理や防災にも航空センサが活躍する時代が訪れました。また、2011年に運用を始めた、道路上を90点/㎡の高密度で計測することができる車載型のレーザ計測システム(MMS)は、2012年には3台体制に拡大して全国の道路網を計測しています。
最新の航空レーザ計測システム導入
航空レーザ計測システムは導入当初からの技術革新が目覚ましく、2018年に導入したGalaxy Primeは毎秒100万発の高性能に加え、ヘリコプターに搭載できる柔軟性を兼ね備えたものでした。一方で同年12月に「防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策」が閣議決定され、航空レーザ測量は国土の現状を広域かつ高精度、高密度に計測する主力の技術として位置付けられました。当社は2020年、2021年に相次いで、毎秒200万発の最新型航空レーザ計測システムであるTerrainMapper-2を2台導入し、高密度計測と機動力の高い固定翼機に搭載したことで、計測効率の向上を実現しました。
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最新鋭双発機「あおたか」の就航と往年の名機「コマンダー」の退役
2014年以降に当社は航空機を4機導入し、2024年4月時点で7機体制で運航しています。2015年に「キャラバン」として知られるセスナ式C208(JA12AJ)、2017年にはC208B(JA13AJ)、そして2019年にはターボプロップの双発エンジンを搭載した、テキストロン・アビエーション式C90GTi型(JA81AJ)を導入し、愛称を社員から公募して、「あおたか」としました。「あおたか」はエンジンが両翼に付いているため何らかのトラブルで片方のエンジンが停止しても飛行を継続することでき、高い安全性を確保できます。またC208単発機に比べ巡航速度が速く航続距離が長いため、離島や広範囲の計測において能力を発揮し、かつ低速での巡航も可能で安定性に優れた最新鋭かつわが国唯一(2025年2月時点)の機体です。さらに、2022年には「海の地図プロジェクト」に専属するためのC208(JA14AJ)を導入しました。一方で、2018年にセスナ式TU206G(JA3856)が退役し、2018年、2019年には当社が誇る双発機であった2機のガルフストリーム・コマンダー695(JA8600、JA860A)が相次いで退役しました。
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最新鋭デジタル航空カメラDMCⅢを導入
空中写真測量は、ステレオのポジフィルムから空中三角測量を行うステレオコンパレーター、図化機に至るまでデジタル化がなされ、測量成果である地形図もCADやGISで扱われる数値データとして規定されました。その技術動向に合わせて、空中写真測量に用いるデジタル航空カメラは高性能化が進みました。当社は2004年に当時の最新鋭デジタル航空カメラDMC(Digital Mapping Camera)を導入し、アナログカメラと併用しながら空中写真撮影や空中写真測量の幅広いニーズに応えてきました。そして2014年、DMCの後継機としてDMCII230を導入しましたが、この頃には空中写真の需要はフィルムからデジタル画像にほとんどが置き換わっていたため、2016年に当社のアナログ航空カメラはその役目を終えて退役しました。そして、2021年には最新機種のDMCⅢを導入、その解像度は3億7,000万画素で初代DMCの3倍以上となり、高高度から高い分解能での撮影が可能となりました。翌2022年にはDMCⅢの2台体制としたことに加え、専用の画像処理ソフトHxMap(ヘックス・マップ)によってフレキシブルな分散処理と高速化を実現し、より強力な撮影体制を構築しました。
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車載型レーザ計測システムの最新機MMS7号機を導入
新たな計測技術として発展を続けている車載型レーザ計測システム(MMS)は、道路台帳図化業務、道路および空港の路面性状調査、地籍、i-Constructionなどに活用するための3次元データ取得業務の多様化に伴い、機材の多様化が進んでいます。MMSは、レーザスキャナ、デジタルカメラ、GNSS/IMU(衛星測位と慣性計測装置による自己位置計測システム)などのセンサを組み合わせ、走行経路周囲の空間情報を取得するシステムです。当社は、2018年に路面性状センサMMS-Xv210ZAL、2022年にレーザ計測センサMMS-G、2023年に可搬型の小型軽量タイプPegasus TRKを導入しました。多様化した業務に対応するため2024年4月時点で計4台のMMS車両を運用しています。

多彩なセンシング機材への積極的な投資
航空カメラ、航空レーザ、MMSだけでなく、当社は常に最新のセンシング機材を導入すべく積極的な投資を行ってきました。航空レーザ測深(ALB)は2015年、2020年にChiroptera-4xを2台、2023年にChiroptera-5を1台と、HawkEye-5を1台導入しています。HawkEye-5は国内唯一のDeepセンサであり、Chiroptera-4xの1.8倍、Chiroptera-5の1.3倍と他社の追随を許さない測深性能を誇ります。
また、UAVによるレーザ計測システムも2018年に国内でいち早く導入し、UAV搭載型としては当時世界最高性能のVUX-1を採用しました。その他、LidarSLAM技術を用いた手持ち型レーザ計測装置Hovermapを2021年に導入しました。狭隘な道路や屋内、地下街など機材の搬入が困難な場所でも、自在に3次元点群データを取得することが可能となりました。
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