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みなさん、こんにちは。
アジア航測の会長大槻幸一郎、社長小川紀一朗をはじめとする森と水と大地をこよなく愛す仲間たちが紡ぐコラムです。
今回のテーマは、「癒しの自然 -小紫陽花の小道-」(大槻)です。

大槻会長

今年の関東甲信越は平年より早く梅雨入りした。いや気象庁によると正確には、「5月29日に関東甲信越地方が梅雨入りしたとみられる」ということだ。
梅雨時にいっそう美しく見える花、紫陽花。

今回は、昨年散策した群馬県草津町の国有林にある森林セラピーロード、紫陽花の道で見られた自然の営みをご覧いただこう。(注:例年6月下旬が満開時期)
香気漂う、世界的に有名なあの香水の原料となったのがコアジサイ(小紫陽花 ユキノシタ科アジサイ属)だそうだ。地味な花ではあるが群生をなす姿は圧巻である。

空とぶ森とみずと大地と
小紫陽花に囲まれながら林道を進む      大きく株立ちした小紫陽花が群落を作る

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小紫陽花の花 (白が主だが、青や紫がかったものもある)

目の前に広がる花にばかり見とれていると、地面の様子を見落としてしまいがちだが、何と見事なギンリョウソウ(銀竜草 イチヤクソウ科ギンリョウソウ属 別名ユウレイタケ)がひっそりと地面に生えているではないか。真っ白い姿には一瞬「・・・何だこりゃ!」と身を引きそうであるが、葉緑素を持たない植物で、いわゆる寄生植物である。良く見ると、真っ白に透き通った花や薄紫色したもの等、変化ある世界だ。

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ギンリョウソウ

ギンリョウソウのすぐ近くには、緑に苔むす切株がじっと我らを見つめている様である。もう10年近くも経つであろうか、間伐で切り残された台木である。この小紫陽花ロードを行交う沢山の人々を見つめて来たはずである。黙して語らぬこの切株は、一体何を考えているのであろうか。

空とぶ森とみずと大地と
“ ・・・ ”


初夏は生命体の躍動の季節でもある。地中で長い年月を過ごして来た蝉の幼虫が、僅か一週間の命を激しく地上で燃やす。また、小さな毛虫がビックリするような奇麗な蝶に化けたりもする。そしてキノコの類が秋の最盛期に向けての助走に入る時期である。

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蝉の抜け殻                     毛虫の散歩

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キノコ


里山の広葉樹林の中で一際目を引くのがホオノキ(モクレン科モクレン属)である。大きな葉っぱにスルッとした木立と木肌。花は大きく香りが素晴らしいが、残念ながら高い位置で開花するために地上から見上げては観察できない。山道を登りながら、眼下に見える花を見つけて歓声を上げるのが常なる運命の樹木だ。木質が柔らかく、しかも結構丈夫な事から、昔は下駄や彫刻の材料に重宝されたものだが、昨今は如何なものか(飛騨のホオ葉焼程度では寂しい)。親木からチョット離れた所で遠慮がちに育つ若木も、天に向かって葉を広げスクッと育っている。

さてさて自然の摂理に負けないよう、親から子供に何を伝えるのか。昨今の日本の置かれている複雑な環境からハタと思考も停止する今日このごろである。


空とぶ森とみずと大地と
株立ちする幹           空いっぱいに広がる葉

空とぶ森とみずと大地と
若木も静かな闘志で伸びる



空とぶ森とみずと大地と
次回もお楽しみに!