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みなさん、こんにちは。千葉達朗です。
赤色立体地図のセカイへようこそ。
地形から、防災と過去・ミライを考えます。地球科学に関することなら何でもござれ。
今回のテーマは、雹水害?!の「調布」です。


いまから3日前の2014年6月24日。東京都内の一部で雹が降った。
どこかで雹が降ったというニュースは毎年聞いているような気がするが、首都圏で間近にみるこの光景には正直驚いた。
YouTubeやTwitterなどに画像がぞくぞく上がってくるのをみると、ニュースよりも早くその様子が伝わってきた。
そこでは7センチもの積雪ならぬ積雹があり、それが溶け出して流氷のようになっている。

これは、雹による水害だ。
赤色立体地図


akkz01さんのYouTube投稿動画


投稿をみると、どうも腰の高さまで浸かっている地域もあるようだ。
トラックの荷台が増水で隠れている画像もある。
雹が溶け、近くに川がなくても洪水になっていて、その流れはかなり強い。

国土地理院の基盤地図情報5m標高をもとに赤色立体地図+高度段彩+等高線+水系+尾根線図を作成してみた。

赤色立体地図
真ん中あたりに2本並行して東西に延びている線が京王線と国道20号
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て基盤地図情報を使用した。(承認番号 平22業使、第278号)
(クリックすると拡大します)

雹の集まった流域を解明してみた。
宅地の中の雹は移動しない。おそらく流れ出たのは舗装道路の上にたまったものだけではないか。

赤色立体地図
流域と雹の流れとの関係 濃い紫のところが窪地で水が流入


場所はこのあたり。(地理院地図にリンクしています)




雹の集積域その1 旧甲州街道

上の図で示した2つの窪地の南側のほう、つつじヶ丘から仙川に昇る20号の坂の左にある旧道のあたり。先に述べたトラックが水没した地点。
国道20号の盛土が沢地形の下流側を堰きとめていたものらしい。
写真は2014年6月25日17時ごろ、片づけが一段落したころに撮影した。
印刷屋さんに聞くと、以前にも水がついたことがあり、そのときは雹ではなかったんですけど、とのこと。この付近の入間川は、暗渠化されていて、ここよりも高い、南の甲州街道との分岐点付近にある。この付近の排水は、窪地である割には貧弱な印象を受けた。


水没被害を受けた印刷屋さん
右の扉のノブ下まで浸かった痕が。


赤色立体地図

赤色立体地図
甲州街道との分岐から北東方向を撮影。左が入間川暗渠。右が水没した道路。暗渠の方が高い位置にあることがわかる。
なんで暗渠が、一番低いところにないんだろうとずっと考えていた。暗渠化された川は、排水用ではなくかんがい用の水路と考えれば、理解できる。水田は、水をためやすい低い土地に作る。そこを、そのまま住宅にしてしまうと、こういうことも起こりうる。


雹の集積域その2

2つめの地点、北側のほう。微妙に周囲が高い窪地になっている。
左の写真は南から北を写したもの。右の写真は北から南を写したもの。
やはり窪地だ。

赤色立体地図




このあたりは滝坂という地名があるらしい。旧道の雰囲気を残している。
名が地形をあらわしているのだろうか。

現地を歩いていると、半地下のガレージがあり、ここも大変なことになっていたようだ。
もし、これが地下街だったら。
もし、これが雹でなく、火山灰だったら。
今回の雹被害を間近にみて、今後の火山灰対策を考えるのに、雹は少し参考になると思った。

ひとが集まり、どんどん住宅地が広がっていって、地形がわかりにくくなっている都市。
微地形をあらわす赤色立体地図が、さまざまな災害対策の一助となることを願っている。

関連リンク

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