流域マネジメント

河道と下水道が一体となった内水氾濫 シミュレーション

ゲリラ豪雨に対応する内水ハザードマップについて

近年、1時間に100mmを越える局地的な大雨、いわゆるゲリラ豪雨による浸水被害が各地で頻発しています。 このような浸水現象を予測して、被害の防止や軽減に向けたハード・ソフト面での治水対策の充実が大切になっています。アジア航測では、最新の航空レーザ計測結 果やシミュレーション技術を用いて高精度の予測情報を提供できるよう技術開発を行っています。ここではその取り組みについてご紹介します。

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内水氾濫とは


市街地に降った雨水は、地表面を流れ道路側溝などから下水道(雨水排水用)や中小河川に流れ込み、大河川や海に排出されます(図1)。
多くの下水道施設では、1時間に50mm~60mm 程度の雨を想定した整備が進められています。想定より多くの雨が降ったり、想定内の雨でも下水道未整備区間で
は、雨水を排出することができず、排出できない水が地表面に溢れ、地形的に低いところに水が集まり浸水被害を発生させます。
大河川が大雨で増水し河川水位が上昇したため、下水道や中小河川からの排出が速やかに行うことができなくなって水が溢れることもあります。
このような現象を「内水氾濫」といい、ゲリラ豪雨の多くは内水氾濫によって家屋などを浸水させます。また、浸水の原因は、雨の強さ、河川や下水道の排水施設の整
備状況、排出先の状況など多岐にわたり、浸水範囲を予測するためにはこれらの特性を把握することが重要です。
内水氾濫に対して「外水氾濫」という言葉もあります。これは河川水が氾濫する現象で、激しい水流により家屋が倒壊・流失するなど、大きな被害が発生する現象です
(図2)。洪水ハザードマップとして多くの市町村で公表されています。

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河川と下水道が一体となった内水氾濫シミュレーション


内水氾濫現象を予測するためには、下水道からの氾濫と河川からの氾濫の両方の現象を同時に解析する必要があります。また、氾濫水は地表の低いほうに流れ低平
地に湛水することが多いため、地表面の情報分析も重要です。アジア航測では次のような取り組みを行っています。

①浸水しやすい微地形の把握
航空レーザ計測により取得した精密な地盤情報から赤色立体図と段彩陰影図を組み合わせることにより、相対的に標高が低く浸水が発生しやすい地形を鮮明に把握します(図3)。

②河道と下水道が一体となった内水氾濫シミュレーション
アジア航測では、雨水の地表面での流れ、河川水の流れ、下水道網の水の流れ、氾濫水の流れなど、複数の水の流れを同時に解析できる内水氾濫シミュレーションモデルを構築しています。さらに、航空レーザ計測を用いた微地形情報を活用することにより、地表面の水の流れの解析の精度の向上を図っています。このモデルは、大河川の水位変化による影響、ゲリラ豪雨による浸水特性(浸
水範囲、浸水深、湛水時間など)や、既存施設の弱点(溢れやすいマンホールの特定)を把握することも可能です。
さまざまな条件で内水氾濫シミュレーションを行い、氾濫水の挙動を把握することにより、ソフト対策(たとえば、避難のタイミング、避難の方向、避難行動時の注意事項などの検討)や、ハード対策(優先的に整備が必要となる施設の確認や必要となる諸元)の検討を効率的に実施することができます。

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内水ハザードマップの作成


地形分析や内水氾濫シミュレーションによって予測した浸水範囲や浸水深などの情報をもとに、避難場所や避難のタイミングなどの時系列的な情報をあわせてわかりやすく加工した「内水ハザードマップ」を作成・公表することでソフト対策の浸水被害の防止・軽減につながります。

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今後の展開


航空レーザ計測による微地形の分析技術、河川および下水道の水理解析技術などの複数の技術を融合して活用することにより、複雑な内水氾濫現象の挙動を精度良く予測することが可能となります。
本技術は、河川分野や下水道分野の各分野における計画立案や事業の妥当性確認などの活用に加え、総合的な治水対策などの複合分野においても有効です。
さらに、地下街などへの入口情報と組み合わせることにより、地下空間の浸水対策への活用も期待できます。


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