アジア航測|空間情報コンサルタント

 
HOME事業・製品情報/研究開発 建設コンサルタント(防災)緊急災害対応 > 航空レーザ計測による土砂移動量実態の把握 <事例報告>
建設コンサルタント(防災)

緊急災害対応

航空レーザ計測による土砂移動量実態の把握 <事例報告>

平成21年7月21日に山口県防府市で発生した土砂災害

平成21(2009)年7月21日、梅雨前線に伴う豪雨により、中国地方を中心に広い範囲で土砂災害が発生しました。特に山口県防府市を中心とする地域では、斜面崩壊・土石流・洪水氾濫などの災害が発生しました。
アジア航測では、これらの災害の実態を明らかにするために、7月22日に山口県防府市付近の斜め写真撮影、23日に航空レーザ計測をおこないました。

戻る TOP

降雨状況


図1 災害時の降雨状況(気象庁:防府)

平成21年7月20日から振り出した降雨は、21日早朝から豪雨となり、気象庁防府観測所では、連続雨量332mm(20日0時から21日21時)、最大時間雨量63.5mm(21日9時)を記録しました。降雨の超過確率規模を評価すると、時間雨量(63.5mm:9:00)は10~20年確率(Gumbel分布)程度であったが、日雨量:275mm(7/21)は150~200年確率(Gumbel分布)と非常に大きな降雨でした。

戻る TOP

災害概要


図2 写真判読による土砂移動実績

消防庁の発表(8月24日16時)によると、山口県における被害状況は死者17人、負傷者26人(重軽傷)、住宅被害721戸(全半壊、一部損壊、床上・床下浸水)となっています。特に被害の大きかった防府市では、死者が14人であり、そのすべてが土砂災害によるものです。
アジア航測が撮影した斜め写真と航空レーザ計測によるデジタル写真から、防府市の土砂移動の状況を判読したところ、今回最も人的被害が大きかった上田南川(真尾)、国道262号沿いの剣川など、防府市内の山間部ではいたるところで、崩壊が発生し、その土砂が流下していることがわかります(図2)

戻る TOP

航空レーザ計測による土砂移動実態の把握

今回の災害で最も人的被害の大きかった上田南川と崩壊・土砂流出が著しかった剣川を対象に、航空レーザー計測による土砂移動実態の把握を行いました。ここで、災害前は平成17年4月、災害後は平成21年7月23日に計測された地形データを用いました。

戻る TOP

上田南川における土砂変動状況


写真1 老人ホームに流入した土砂の状況

上田南川流域は,面積1.13km2,平均河床勾配10度の土石流危険渓流です。谷出口の上流部は、過去の土石流堆積物を侵食する形で流路が形成されており、右岸側は土石流堆積物、左岸側は風化した花崗岩の地山が卓越しています。上田南川上流で発生した土石流は、渓床の土石・立木を巻き込みながら流下し、途中、土石・流木を堆積させた後、谷出口に位置する老人ホームに流入しました。老人ホームでは7名の犠牲者が出ています。
 土石流発生のきっかけとなったと考えられる上流の崩壊地の規模は、長さ23m、幅14m、最大崩壊深3.0m程度(現地調査により確認)、崩壊生産土砂量500m3程度(航空レーザー計測の差分結果)でしたが、土石流は、下流の河床部を侵食しながら流下し、谷出口からは18,600m3の土砂が流下した結果となりました。航空レーザー計測による地形変動を見ると、概ね侵食傾向を呈し土石流が発生・拡大している区間や、河床の屈曲による土石流の一部堆積などの傾向がよくわかります。

戻る TOP

 

図3 航空レーザー計測による上田南川の土砂収支

 

 

 

剣川における土砂変動状況

 

剣川流域は,面積1.82km2,平均河床勾配5.2度の土石流危険渓流です。流域内の多くの0次谷で小規模な崩壊が発生し、渓床部の土砂・流木を巻き込みながら下流に流下しています。下流部には2基の砂防えん堤が存在し、土石流形態の流出土砂を捕捉していますが(写真2)、細粒成分が堰堤下流に流出しています。堰堤下流の支川と堰堤上流からの細粒土砂が下流に流出し、最下流の上勝坂橋は流木の堆積により閉塞し(写真3)、細粒土砂の堆積・氾濫が生じています。

 


写真3 上勝坂橋の流木堆積状況

 

  写真2 剣川堰堤の土石流堆積状況

 

写真4 上勝坂橋付近の土砂

 

航空レーザー計測による地形解析結果および現地確認結果よると、剣川流域での崩壊地は143箇所確認され、崩壊地面積率は1.37%でした。崩壊生産土砂と渓床部の侵食土砂を合わせ流域全体で生産された土砂は約154,300m3と考えられます。このうち44,500m3(上流側の勝坂堰堤:17,140m3、下流側の剣川堰堤:2,980m3、河床部:24,380m3)が砂防えん堤などにより流域内で堆積しています。砂防えん堤下流側には顕著な土石流の流下痕跡が見られず、細粒土砂のみが下流に流出したものと考えられます。また、上勝坂橋上流には、10,000m3の土砂が層状に堆積しています。この結果、流域外には99,800m3の細粒土砂の流出があったと考えられます。

 

図4 航空レーザー計測による剣川の土砂収支

 

 

災害直後に航空レーザー計測を実施し、災害前に計測した航空レーザー計測と比較し、崩壊地の個数、崩壊生産土砂量、流域内の土砂収支などを迅速にかつ定量的に把握しました。

アジア航測では、災害発生時に空と陸の両面から情報を収集し、迅速な情報提供・コンサルティングを行うことを責務としています。土砂災害は一過性のものではなく、今後も適切な時期(降雨時や融雪時)に必要な情報を収集・解析することが重要です。アジア航測が収集したデータはできる限り一般の方々にもお見せするためホームページ上での情報公開を行っています。

これらの情報や解析結果が、地域住民が安心して暮らせる町づくりに、また、国土の防災対策の重要な基礎資料になれば幸いと考えています。



関連リンク

関連ニュース
関連製品
関連表彰
関連論文

検索

◎別のカテゴリーで調べる


 

◎業務や技術で探す

計測 判読・マッピング
     
GIS 調査・計画等
 
 
 
お問い合わせ
PDFダウンロード