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内陸直下型地震による崩壊の特性の解明 <事例報告>

長野県北部地震による斜面崩壊の分布と規模の特徴


東北太平洋沖地震の約13時間後の、3月12日3時59分に長野県北部の新潟県境付近を震源とする強い地震が発生しました。気象庁によれば、地震の規模はM6.7、震源の深さは8km、最大震度は6強でした。この地震は、内陸直下型で山間部に発生したため、斜面崩壊による土砂災害が予測されました。

アジア航測は、この地震による斜面崩壊の実態をいち早く把握するため、3月12日と13日に長野県栄村、新潟県津南町、十日町市松之山町で垂直航空写真を撮影しました。また、大規模な崩壊箇所に対し、斜め写真を撮影しました。ここでは、垂直写真判読に基づき、今回の地震による斜面崩壊の分布と規模の特徴について検討した結果を報告します。

(写真は長野県栄村大規模崩壊の斜め写真)

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調査地の概要


図1 空中写真撮影範囲

調査地は、長野県北部の栄村、新潟県南部の津南町、十日町市です(図1)。写真撮影範囲は千曲川沿いの両側の斜面の6コースと、新潟県十日町市松之山町の1コースです。調査地の地形は、稜線の標高が500~1,000m程度の山地からなり、地質は主に新第三紀の地層からなります。千曲川沿いおよびその左岸側山地に活断層が多く分布しています。また、調査地は日本有数の豪雪地帯で、今回の地震発生時には、震源域では2~3mの積雪があったと推定されます。

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斜面崩壊の分布


図2 断層、震央からの距離と崩壊の頻度分布

調査範囲内では地すべりを含み111箇所の斜面崩壊が判読されました。今回の地震について、震源断層モデルが公表されていないものの、千曲川沿いの活断層が今回の地震を起こした可能性があることを考慮すると、崩壊111箇所中101箇所が断層の上盤側に分布することがわかります。この傾向は、これまでの逆断層地震による地すべりなどの分布の特徴と一致しています。

図2に、活断層と震央から崩壊箇所までの距離における崩壊の頻度分布を示しました。崩壊は、断層から12の範囲内に分布し、その91.9%が断層から6km以内の範囲にありました。また、崩壊は震央から16km以内に分布し、その84.7%が震央から8km以内の範囲にありました。

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斜面崩壊の規模の特徴


図3 崩壊面積頻度分布

図3に崩壊の面積の頻度分布を示します。約63%の崩壊の面積は2,000~4,000m2でした。面積が6,000m2以下のものは全体の82.0%を占め、ほとんどの崩壊は小規模でした。しかし、写真1に示すように、長野県栄村、新潟県津南町では大規模な崩壊も発生しました。

活断層と震央から崩壊までの距離と崩壊面積との関係を図4に示します。断層からの距離では、二つの特徴が見られます。一つは、断層の下盤側の崩壊に比べ、上盤側に大規模な崩壊が多く分布すること、二つ目は、断層の上盤側において、断層から遠くなるにつれ、崩壊の規模が小さくなる傾向がみられることです。震央からの距離では、断層と類似した傾向を示しています。

本地震による崩壊のもう一つの特徴は、崩壊土砂が長距離移動したことです。長野県栄村で発生した崩壊では、崩壊土砂が下流へ1km流下しています。新潟県津南町で発生した崩壊も、下流へ約0.5km流下し、国道に達しています。地震時に積雪が2~3mあり、土砂が雪の上で流下しやすくなったと考えられます。

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検討結果のまとめ

長野県北部地震によって発生した崩壊の特徴について航空写真判読に基づき検討した結果、多くの崩壊は断層の上盤側で発生し、その規模も下盤側に比較して大きいものが多いことがわかりました。崩壊は断層から遠くなるにつれ崩壊の規模が小さくなる傾向を示しました。また、豪雪地帯で発生したため、大規模な崩壊による崩壊土砂は長距離流下しました。この地震による崩壊は、豪雪地帯で発生する地震による崩壊の分布、規模の特性を解明する上で貴重なデータになります。

今後も、地震による土砂災害の予測、軽減のため、さまざまな事例を収集し、その特性について把握、整理したいと考えています。

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図4 断層、震央からの距離と地すべりの面積

図4 断層、震央からの距離と地すべりの面積



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