遠望観察による考察
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- モルタルのはがれ落ちた範囲は南北約50mと広いが、きっかけとなった崩壊はそのうち中央やや南の部分、斜面の変曲部(尾根部)で発生している。
- 新たに生じた露頭を観察すると、中央部にほとんど完全に水平な不整合面があり、それより上位には下末吉層と下末吉ローム層、新期ローム層が累重する。一方、不整合面より下位の上総層群の構造はほぼ水平で、上部にシルト層が、下部に砂層が露出する。シルト層中には、2枚の白色凝灰岩の挟みがあり、東西走向北傾斜60度くらいの正断層でずらされている。この小断層は節理面Bと交錯するが、節理面Bは変位していない。この小断層はもちろん不整合面を切っていない。
- 下部の砂層中には、節理があまり発達しないが、上部のシルト層中には様々な方向の節理が密に発達する。節理は大きく3つのグループに分けられる。AグループとBグループは、NS系とEW系でほぼ直交する走向をもち、いずれも傾斜は60-70度程度である。C系統はほぼNS走向の垂直傾斜である。
- 崩壊はこれらの節理グループのうち、AグループとBグループの面と斜面で構成される、頂部を欠いた逆三角錐のくさび型ブロックが滑り落ちにたものである。また、くさびの奥の部分ではC面とB面からなる屏風状の部分が確認できる。
- なお、A面とB面の表面が茶褐色に変色しているのは、写真撮影直前まで、上部斜面でロームの整形作業を行っていた関係で、節理面に落下したロームブロックの一部が付着しているためである。
- 面の走向傾斜は直接測定すべきものであるが、危険で立ち入れないため、いくつかの角度からの空中写真と遠望写真を総合し推定を試みた。くさびブロックの面のうち、A面はN30W65W程度、B面はN60E70E程度と推定される。これらの面と崩壊前の斜面(やや凸の尾根状の部分、おおよそN60W70S)とで構成される、頂部のとれた三角錘を逆さまにしたような楔形ブロックが最初に崩壊したようである(図-1)。
- 不整合面より上位の下末吉層以上の地層は、基盤の崩壊に引きずられ、あるいは載った状態で崩壊している。
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図-1 くさび形ブロック崩壊のステレオネットによる解析(ウルフネット下半球)
実測値ではないことに注意。それぞれの面の走向傾斜は10度程度の誤差を含む。
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